<W解説>「チュソク(秋夕)」のギフトをめぐる変化=トレンド、意味合い…(画像提供:wowkorea)
<W解説>「チュソク(秋夕)」のギフトをめぐる変化=トレンド、意味合い…(画像提供:wowkorea)
韓国は10日に日本のお盆にあたる「秋夕(チュソク、中秋節)」を迎える。日本のお中元のように韓国でも秋夕に普段お世話になっている人などに贈り物をする習慣がある。デパートやスーパーなどでは「秋夕ギフト商戦」が今年も盛り上がりを見せた。また、ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領が贈ったギフトセットが中古取引プラットフォームに出品された。大統領による名節のギフトをめぐっては、新年にもムン・ジェイン(文在寅)前大統領が旧正月に合わせ贈ったギフトが中古取引サイトに出回り、高値で取引された。

 秋夕はソルラル(旧正月)と並ぶ韓国の代表的な名節で、親戚一同が故郷に集まって先祖の墓参りをしたり、食事をしたりするのが一般的な過ごし方だ。「民族大移動」と言われる大規模な帰省ラッシュで高速道路の大渋滞や、人でごった返すソウル駅の光景はお決まりだった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で一昨年と昨年は状況が一変。帰省を自粛する人が多く、墓の草刈り代行サービスや、オンライン墓参りなども登場した。今年は行動規制もないため、帰省ラッシュも大規模なものになると予想され、故郷に親戚一同が集まって過ごす伝統的な秋夕の光景が見られそうだ。今年の秋夕は10日で、前後の日を含めて3日間は祝日となるため、今日9日から休みに入った人も多い。

 デパートやスーパーでは先月初め頃から「秋夕ギフト商戦」が繰り広げられてきた。今年のトレンドはウエアラブル端末だという。聯合ニュースによると、韓国の大手デパート、現代百貨店が今年の秋夕ギフトの予約を受け付けた先月1日から29日までのウエアラブル端末の売上高は、昨年の秋夕時に比べ48.1%増加した。スマートウォッチが45.6%、ワイヤレスイヤホンが51.3%、それぞれ伸びたという。そのほか、家庭で使う美容機器やマッサージチェアの売り上げも伸び、特にマッサージチェアはギフトの定番になりつつあるという。親などに贈るギフトについて、現代百貨店の関係者は聯合ニュースの取材に「以前と違い、スマートデバイスに慣れた親世代が増えており、贈り物のトレンドも変わりつつあるようだ」と話した。

 韓国ではかつて、秋夕や旧正月の贈り物と言えば、高級な韓牛(韓国在来種の牛)の人気が高かったが、最近は過度に値段が高くない加工食品や生活必需品の詰め合わせなど、実用的な贈り物にかわりつつある。これは2016年9月に施行された「不正請託および金品など授受の禁止に関する法律」も影響しているとされる。同法は公務員や私立学校、報道関係者らが、1回あたり5万ウォン(約5000円)を超えるプレゼント・中元・歳暮を受け取ることなどを禁じている。ちなみに、韓牛セットを5万ウォン以下で購入することは現実的に不可能だ。

 名節のギフトと言えば、今年の旧正月に、当時の文大統領夫妻が各国大使に贈ったギフトセットの箱に、韓国が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)とみられる絵が描かれていたことが報じられた。韓国大統領は旧正月や秋夕の際、国内の各層や韓国に駐在する各国の官民関係者に各地の特産品を贈っている。相星孝一駐韓大使にも届いたが日本大使館は受け取りを拒否し、直ちに返送。韓国側に強く抗議した。

 一方、政権が変わり、尹大統領はようかんや黒豆、ナツメなど地域の特産物を詰め合わせたギフトを、国や社会発展のために貢献した功労者やかつて国のために戦った「護国英雄」らに贈った。今年は韓国初の国産ロケット「ヌリ」の打ち上げを成功させた宇宙産業の関係者も含まれ、約1万3000人に贈呈されたという。

 しかし、このギフトが中古取引サイトに出品され、20万~30万ウォンの値が付けられた。秋夕を控えて、中古取引サイトではギフトセットの出品が増えているという。これについて報じた韓国紙の毎日経済は「特に今年は物価高の基調が続いているだけに、中古取引を通じて食材などを安く購入しようとする需要が増えるものと予想される」と伝えている。しかし、本来、ギフトは普段お世話になっている人たちに感謝の気持ちを込めつつ贈るもの。その思いを考えた時、安易に取引サイトに出品し、元値より安く販売するというのは何とも切ない気持ちになる。

Copyrights(C)wowkorea.jp 3