<W解説>韓国検察、最大野党の李在明代表を在宅起訴=党と李氏は「政治弾圧」と反発するも、過去の主張・発言と矛盾(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国検察、最大野党の李在明代表を在宅起訴=党と李氏は「政治弾圧」と反発するも、過去の主張・発言と矛盾(画像提供:wowkorea)
韓国の検察当局は8日、最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)代表を公職選挙法違反(虚偽の事実の公表)の罪で在宅起訴した。李氏は検察に出頭を要請されていたが応じず、書面による陳述書を検察に提出した。捜査に李氏や同党は「政治弾圧だ」と強く反発している。しかし、韓国紙・朝鮮日報は、2019年に同党が与党「国民の力」の前身の「自由韓国党」の議員が捜査機関に出頭しなかった際に批判をしていたことや、李氏がパク・クネ(朴槿恵)元大統領が出頭拒否した際に「逮捕状を出せ」と主張していたことを指摘。矛盾が明らかとなった今、野党第一党の代表に就任したばかりの李氏の一貫性ある行動が問われる事態となっている。

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 李氏をめぐっては、ソウル近郊のキョンギド(京畿道)知事として昨年出席した国会審議やメディアのインタビューで、京畿道ソンナム(城南)市長時代に主導した宅地開発で、側近らが巨額の利益を得たとされる「テジャン(大庄)洞疑惑」に絡み、関係者の城南開発公社職員について「末端の職員だったので市長在任時には知らなかった」と答えた。しかし、その後、李氏とこの職員が一緒に写った写真があることが判明。検察は李氏が虚偽の発言をしたと判断した。また、城南市長在任中にプンダン(盆唐)区ペクヒョン(柏峴)洞の土地が自然緑地から準住居地域へ用途変更されたことをめぐり、「パク・クネ(朴槿恵)政権下の国土交通部(部は省に相当)が城南市の公務員に用途変更を行うよう圧力をかけた」と虚偽の事実を述べた疑いもある。

 李氏は今年3月の大統領選に立候補し、最後まで尹氏と激しい争いを見せたが、約24万票の僅差で敗れた。それまで国会議員の経験はなかったが、6月の補欠選で当選し、晴れて議員バッジを着けることになった。そして、7月、党代表選に立候補を表明。同党の歴代最高となる77.77%の支持を得て他の候補を圧倒し、勝利した。党代表に選出された李氏は「身を削って完全に新しい民主党をつくることに全身全霊をかける」と宣言。「きょうは2年後の総選挙、5年後の大統領選挙への勝利の進軍を始めた日と記録されるだろう」と述べた。

 李氏は党代表選出馬の際、尹政権について「無能、無責任、無気力」と痛烈に批判。最大野党の代表に選出されたことで、今後はかつて大統領選で激しく争った尹大統領との対決姿勢を強めるとみられている。

 そんな中、検察は李氏に対し6日に出頭するよう要請。これに「共に民主党」は猛反発し、パク・ソンジュン(朴省俊)報道官は1日、「到底納得しがたい」とした上で「(李氏は)ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領と争った大統領選候補であり、最大野党代表に対する政治報復、野党を瓦解(がかい)させようとする政治弾圧に対して引き下がることはできない」と述べた。李氏も2日、記者団の取材に応じ、「叩いても駄目だから突拍子もないことで揚げ足を取っている。適切ではない」とし、自身をめぐる捜査に政治的意図があるのではと不信感を募らせた。結局、李氏は「検察からの書面の調査要求を受け入れ、書面で既に陳述と答弁を行った。そのため、出頭要請を受ける理由がなくなった」として出頭を拒否した。

 検察は8日、李氏を在宅起訴した。「共に民主党」のパク・ホングン(朴洪根)院内代表は同日、李氏の起訴について「史上、類例のない政治起訴。野党に対してはない罪をつくり出すために床をひっかくどころか洞窟まで掘る勢い」と反発した。

 しかし朝鮮日報は、「共に民主党」は2019年に与党「国民の力」の前身「自由韓国党」の議員が出頭要請に応じなかったことに、当時の院内代表が「明らかな公権力無力化行為だ。平凡な国民に200日以上捜査を拒否できる人は一人もいない」と批判していたことを指摘。また、李氏は、2016年に当時の朴槿恵大統領が検察の事情聴取を拒否した際、SNSで「法の前に誰もが平等であることを証明するため、不法に捜査に応じなければ国民と同じく逮捕状を出し強制捜査を行うべきだ」と主張していた。

 過去の批判、主張とは正反対な対応を取っている「共に民主党」と李氏。韓国紙の中央日報は9日付の社説で李氏に対し「『防弾バッジ』(国会議員)、『防弾鎧』(党代表)という声が出る理由を自問する必要がある」と批判した。

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