5大銀行のドル預金額の推移(画像提供:wowkorea)
5大銀行のドル預金額の推移(画像提供:wowkorea)
輸出入を主力とするある大手企業はこの2週間、輸出代金として受け取った米ドルをドル通帳に保管しておいた。普通は輸出入代金を受け取るとすぐに両替するが、ドル相場が毎日のように上がるので、ドルのまま置いておくことにしたのだ。少しでも為替差益を享受しようという狙いのためだ。

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先月、ある銀行支店に数十億ウォンのお金がドル預金として入ってきた。ドルの相場が上がると予想した資産家たちが多額の資金を投入したのだ。一部の資産家は約500万ドルを追加で買い入れた。あるプライベートバンカーは「資産家の投資ポートフォリオでドル保有の比率が10%増えたとみればよい」と話し、「資産家だけでなく一般預金窓口でもドル預金の残高が増えた」と語った。

ドル相場が右肩上がりに上昇し、為替差益を狙った投資需要が急速に増えている。ただちにドルが必要な実需要ではなく資金をプールしておく「仮需要」が、市場の外国為替流通を妨げてさらに為替レートの上昇を煽(あお)っているという指摘が出ている。特に個人だけでなく、一部の企業も為替差益のためにドル資金を一定期間プールしておく場合もあり、為替当局が監視を強化している。市場にはヘッジファンドが投機する動きまで現れ、ドル/ウォン相場の上昇を煽っていると指摘されている。

外国為替当局によると14日、今年に入ってドル/ウォンの為替レートは202.1ウォン上昇した。米国がインフレを抑制するために基準金利をハイペースで引き上げ、市場にドルが不足した影響が大きい。ウクライナとロシアの戦争の長期化により金融に対する不安感が大きくなり、世界的に安全資産に避難する動きが大きくなったのも理由だ。原価上昇による貿易収支の赤字により、ドル決済額が増えた影響も少なくない。

しかし、米国の基準金利の引き上げ基調が続くという見方が出て、為替差益を狙った仮需要が徐々に増加したことも、ドル相場の上昇を助長させたと分析されている。国内の代表的な投資市場である不動産や株式などが本来の機能を果たせず、銀行預金や金、ドルなどの安全資産に資金が集中しているためだ。このような中でドル/ウォン相場が最近大幅に上昇し、需要がさらに増えた。

輸出入企業は輸出代金としてドルをウォンに替えて運転資金にするが、ドル/ウォン相場の上昇期待のために買い戻し時点を遅らせている。実際、韓国銀行が発表した資料によると、今年7月の米ドル預金額は764億7000万ドル(約10兆9000億円)で、前月末より約28億ドル(約4000億円)増えた。増えた額のうちの約90%が企業による預金だった。

韓国銀行の関係者は「為替レートが上昇する時期には企業が代金を直ちに両替せず、為替差益を出すために預金に入れておく現象が起こる」と語り、「7月にも貿易企業が普段よりドルを長く保有していたため、ドル預金が増えていたことが確認された」と説明した。

個人もドルの買い入れを始めている。13日時点で5大都市銀行のドル預金残高は574億ドル(約8兆2000億円)と集計された。8月末より2億ドル(約286億円)、4月に比べ19億ドル(約2720億円)増えた。ドル預金残高は4月から増加傾向にある。

個人は銀行だけでなく証券会社で扱っているドル買い戻し条件付債券(RP)、ドル上場指数ファンド(ETF)にも投資している。ドル買いの需要が増え、市場に供給されるドルが減ったことが、ドル相場が上がる要因として作用している。

新韓銀行のイ・ヨンファエコノミストは「ドル相場を上昇させる要素には多くのものがあるが、最近増えたドル投資の需要が為替レートをさらに引き上げる要因になっている」として「経済低迷の懸念が高まるとドルに対する信用が大きくなるため、当面ドル買いが進行する恐れがある」とみている。
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