インタビューに応じる李鐘燮氏=14日、ソウル(聯合ニュース)
インタビューに応じる李鐘燮氏=14日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防部長官は、北朝鮮の戦術核開発と先制攻撃の脅威に対応するため、韓米の「オーダーメード型抑止戦略(TDS)」を9年ぶりに改定することを明らかにした。一方、日本の自衛隊哨戒機への対応指針を変更するかどうかは、全般的な韓日関係の雰囲気を踏まえて決定することを示唆した。ソウル・竜山の国防部庁舎で14日、聯合ニュースのインタビューに応じた。

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 韓米のTDSは北朝鮮指導部の特性や核・大量破壊兵器(WMD)の脅威を踏まえ、朝鮮半島の状況に合わせて最適化した韓米共同の抑止戦略。李氏は「北の核脅威は韓米がTDSを初めて策定した2013年に比べてはるかに高度化しており、韓国軍と米軍の能力も発展した」とし、こうした変化を総合的に踏まえてTDSを見直していると説明した。北朝鮮による核の威嚇段階、核の使用直前、核の使用時など、核脅威の状況に合わせた対応策をより具体化し、新たな韓米TDSに反映するとした。

 北朝鮮が戦術核と大陸間弾道ミサイル(ICBM)を同時に開発していることで、米国の韓国に対する安全保障公約である拡大抑止が十分に機能しなくなるとの懸念も一部にある。北朝鮮が米本土に対する攻撃能力を高めていることにより、「米国がソウルを守るためにロサンゼルスを犠牲にするだろうか」といった懐疑論が膨らんでいる。

 これに対し、李氏は「情報共有、共同企画、危機協議、戦略資産(兵器)展開、合同演習、戦略的意思疎通など、拡大抑止の実行力を強める方策を検討してきており、今週開く韓米の拡大抑止戦略協議体(EDSCG)の会議でもそうした方策が議論される」と語った。

 韓国軍は拡大抑止の実行力強化とあわせ、北朝鮮のミサイル発射の兆候を探知して先制攻撃するキルチェーン、韓国型ミサイル防衛体系(KAMD)、大量反撃報復(KMPR)からなる「韓国型3軸体系」を画期的に拡充し、北朝鮮核兵器への独自の対応能力を引き上げる計画だ。

 李氏は「韓国軍の情報、監視、偵察、攻撃、ミサイル防衛能力の強化に迅速に取り組み、これによって構築した能力を効果的、統合的に運用するための戦略司令部創設を進めている」と紹介した。

 一方、日本の自衛隊哨戒機を巡る韓日のあつれきに関しては、「韓日の国防当局はこの問題を未来志向で解決していくことで一致している」と述べ、必要なら高官級協議を開いて問題解決を後押ししていく考えを示した。

 哨戒機事件は2018年12月20日、韓国海軍の艦艇が朝鮮半島東の東海で遭難した北朝鮮漁船を捜索していた際に起きた。日本側は韓国海軍艦艇が海上自衛隊哨戒機に火器管制レーダーを照射したと抗議。韓国側はレーダーの照射はなく、哨戒機が艦艇付近で威嚇飛行を行ったと反論していた。

 韓国海軍には、艦艇のそばを低空飛行する自衛隊哨戒機に対し、現場の判断でレーダーを照射できるという指針があるとされる。

 文在寅(ムン・ジェイン)前政権で設けられたこの指針を見直すかどうかについて、李氏は「韓日関係が全般的にどう発展していくのかを見極めながら(決定)する問題だ」と指摘。徴用被害者への賠償問題などで依然冷え込んでいる韓日関係の改善へ突破口が開ければ自然と解消される問題だとの認識を示した。

 政界を中心に議論が高まっている人気音楽グループBTS(防弾少年団)メンバーの兵役特例に関しては「兵役義務履行の公正性という面から兵役特例の拡大は難しい。BTSも兵役の義務を果たすべきだという国防部の基本的な立場に変わりはない」と述べた。「BTSの成果は素晴らしいが、その見返りに兵役特例を認めるのは別の問題だ」とも語った。

 現行の兵役法では、クラシックなど伝統音楽分野のアーティストやスポーツ選手については規定の成績を収めた場合に事実上の兵役免除が認められるが、大衆芸能のアーティストは客観的な基準が足りないなどの理由でこの特例の対象に含まれていない。


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