尹大統領は18日から5泊7日の日程で英国、米国、カナダを訪問した。19日には、ロンドンのウェストミンスター寺院で営まれたエリザベス英女王の国葬に参列した。しかし、尹氏は前日に予定されていた、女王の棺が安置されているウエストミンスター宮殿内のウエストミンスターホールへの弔問ができなかった。大統領室は「現地の交通状況などにより、当初の日程が遅れた」と説明しているが、野党などから批判の声が上がっており、「共に民主党」のアン・ホヨン首席報道官は「尹大統領夫妻は一体何をしに英国に行ったのか。なぜ他の国の首脳は弔問できたのに、大韓民国の大統領はできなかったのか」と批判した。
この後、米国に移動した尹氏は20日、ニューヨークで開かれた国連総会で一般討論演説を行った。尹氏は10番目に演台に立ち、「自由と連帯:転換期の解決策の模索」をテーマに約10分間演説した。しかし、演説で北朝鮮について触れなかったことから批判が出ている。統一部(部は省に相当)の元長官のチョン・セヒョン氏は「大統領室の演説秘書官がどんな人物なのか知りたい。大統領に国際社会でこんなにも恥をかかせるのか。おそらく北朝鮮は痛くもかゆくもなく、何を言っているのかもわからないだろう」と批判した。
21日(日本時間22日)には、滞在中のニューヨークで岸田文雄首相と約30分間にわたり懇談した。両国の首脳が一定の時間をかけて協議するのは、2019年12月に当時の安倍晋三首相とムン・ジェイン(文在寅)大統領が行った会談以来、2年9か月ぶりのことだった。両首脳は、日韓最大の懸案である元徴用工問題などを念頭に、両国間の懸案を解決し、日韓関係を健全な関係に戻す必要性を共有し、未来志向で発展させていくことで一致した。
今回の面会について、日本政府は「懇談」と発表。一方、韓国メディアは「略式会談」との表現を使って報じた。この違いを問われた外交部のイム・スソク報道官は、「形式よりも首脳同士が会ったこと自体が重要だ」と強調した。
しかし、韓国では今回の面会について評価が分かれている。大韓商工会議所など経済界からは評価する声が上がっているが、「共に民主党」のキム・ウィギョム報道官は「ニュースを見ると、岸田首相がいるところまでわざわざ(尹氏が)行き、議論したそうだ」とし、「こんな屈辱外交があるか」と批判した。
さらに、尹氏をめぐっては、21日にニューヨークで開かれた会合を終え立ち去る際、暴言を吐いたとして物議を醸している。その様子を取材陣が撮影しており、国内外の複数のメディアが報道した。一方、大統領室は発言について、バイデン氏や米議会のことを言ったものではないと否定。「うそで同盟国を仲たがいさせることこそ国益を自ら損ねる行為だ」と批判した。
尹氏の今回の海外歴訪を「無能外交」、「外交惨事」などと批判を強める「共に民主党」は27日、外交当局の責任を問うとして国会に朴外交部長官の解任決議案を提出した。同党のパク・ホングン院内代表は「朴長官は尹氏の歴訪が何の成果もなく、骨格の損傷と国益の毀損という前代未聞の外交惨事に終わったことについて、担当長官として責任を負わなければならない」とした。
閣僚の解任決議案は在籍議員の過半数(150人)が賛成すれば可決される。現在、韓国国会では「共に民主党」が169議席を握っているため、解任決議案は可決する見通し。ただ、法的強制力はない。それにも関わらず同党が決議案の提出に踏み切った要因について、聯合ニュースは「尹氏に政治的な負担をかける狙いがあるものとみられる」と伝えている。
朴氏は自身の解任決議案が国会に提出されたことについて「残念」とした上で、「外交が政争化すれば国益は損なわれ、その被害は国民が受ける。国民と国益のため、揺るぎなく最善を尽くしたい」と話した。
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