<W解説>世界市場を舞台に繰り広げられる「K-チキン」競争(画像提供:wowkorea)
<W解説>世界市場を舞台に繰り広げられる「K-チキン」競争(画像提供:wowkorea)
街中にチキン専門店がひしめき合う韓国でチキンチェーン「ビッグ3」に挙げられる、「BBQ」と「KyoChon(キョチョン)」、「BHC」が世界を舞台に熾烈(しれつ)な競争を繰り広げようとしている。21日、韓国メディアの中央日報が伝えた。同紙は「BBQとKyoChonに続いてBHCが海外進出を宣言したことで、『K-チキン』のグローバル化に弾みがつく見通しだ」と伝えている。

 韓国ではチキンが人気で、もはやソウルフードとも言える食べ物。日本でもおなじみのフライドチキン「フライド」や、コチュジャンやケチャップなどを合わせた甘辛ソース「ヤンニョム」を絡めたヤンニョムチキン、しょうゆ風味の「カンジャンチキン」、鶏の丸焼き「トンダククイ」など種類も豊富だ。専門店の店舗数は8万件以上との市場分析もあり、この数は日本にあるコンビニチェーン店の総数を上回る。韓国の人口は日本の半分以下であるから、8万以上のチキン専門店の店舗数がいかに多いかわかる。

 韓国語にはビールを意味するメクチュとチキンとを合わせた「チメク」という造語もあり、新型コロナ禍前までは公園などにチキンを配達してもらい、仲間同士などで味わう光景が日常的に見られた。

 韓国チキンの知名度は韓国ドラマなど、韓流コンテンツの人気で海外でも上がってきている。韓国農林畜産食品部と韓食振興院が昨年8~9月にかけて外国人を対象に実施した韓食(韓国料理)消費者調査の結果によると、外国人が最も好み、頻繁に食べる韓国料理は「韓国式フライドチキン」だった。調査は中国の北京やタイのバンコク、米ニューヨーク、フランスのパリなど海外の主要17都市で計8500人を対象に実施。1位の「韓国式フライドチキン」は30.0%で、「キムチ」(27.7%)や「ビビンバ」(27.2%)、「トッポッキ(餅の甘辛炒め)」(18.0%)などおなじみの韓国料理・韓国食品を上回った。コロナ禍で韓国旅行に行けなくなった日本の若い女性たちの間で、ホテルの一室に集まってヤンニョムチキンを食べながら韓国ドラマを見たりして楽しむ「韓流ごっこ」が流行りもした。

 こうした中、韓国のチキンチェーン店の熾烈な競争が世界を舞台に広がり始めている。BBQは米国やドイツ、台湾、ベトナム、日本など57か国に500の店舗を持つ。特に2006年に進出した米国での成長は著しく、現在、店舗数は150店に上る。売り上げも2019年の2800万ドル(約40億2100万円)から昨年は7300万ドル(約112億7000万円)に伸びた。また、日本では2016年12月から外食大手のワタミがbb・qオリーブチキンカフェを運営している。BBQチキンを運営するジェネシスBBQのユン・ホングン(尹洪根)会長は今後、店舗数を米国内で1万店、全世界で5万店とする計画を打ち出している。

 尹氏と言えば、昨年の北京冬季五輪の際、メダルを獲得した韓国代表選手全員にチキンを無料で提供する「チキン年金」を支給することを発表し話題となった。尹氏は大韓氷上競技連盟の会長でもあり、北京冬季五輪では韓国選手団団長を務めた。

 今年4月、メダリストへの「年金証書」の伝達式が開かれ、金メダリストには60歳まで毎日3万ウォン(約3100円)分のフライドチキンが注文できるクーポンを提供。銀メダリストには週2回ずつ20年間分、銅メダリストには週2回ずつ10年間分を支給した。

 また、KyoChonは現在6か国に70店舗を構えている。海外事業では当初は大型ショッピングモールに旗艦店の形で入店する「カジュアルダイニング型」モデルが主軸だったが、コロナ禍以降は「配達・包装型」モデルに軸足を移した。現在、米国本土市場での拡大を模索しているという。

 これに続き、BHCがこのほど本格的に海外進出に乗り出すことを発表した。11月にはマレーシアに、来年4月にはシンガポールにそれぞれ1号店をオープンさせる計画だ。BHCチキンを運営するBHCグループの関係者は中央日報の取材に「マレーシアとシンガポールを拠点に東南アジア・中東に店舗を拡大していく。パク・ヒョンジョン会長自らグローバル事業を推進し、陣頭指揮している」と話した。

 海外市場における「K-チキン」の今後の展開が注目される。

Copyrights(C)wowkorea.jp 3