発射準備の兆候が確認されている、北朝鮮による潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に対応することを目的に行われた。潜水艦は水中を航行するため、ミサイルの発射地点を探知しにくい。そのため脅威となる潜水艦を予め見つけて対処する必要がある。米原子力空母ロナルド・レーガン艦や海上自衛隊の護衛艦「あさひ」などが参加。米空母打撃群のマイケル・ドネリー司令官が指揮した。訓練では米海軍の潜水艦を探索・追跡し、3か国の艦艇で相互の情報を共有した。韓国国防部(部は省に相当)は今回の訓練について「北朝鮮の核・ミサイルに対応する韓米日の軍事協力を2017年以前の水準に戻す措置の一環だ」としている。
しかし、この訓練は竹島(韓国名・独島)から約150キロの場所で行われ、韓国最大野党「共に民主党」は、「有事の際、朝鮮半島に日本の自衛隊の介入を許容するということなのか」と韓国政府を批判している。
3か国の合同訓練をめぐっては、日米が訓練を朝鮮半島の水域で行うことを繰り返し提案。当時のムン・ジェイン(文在寅)政権は、日本の自衛隊が朝鮮半島周辺に進入することへの懸念と、この演習が名目上は北朝鮮の脅威に対抗することを目的に掲げているものの、実際は中国とロシアをけん制するためのものであると主張して提案を拒否した。
韓国国会の国防委員会に所属する「共に民主党」のアン・ギュベク議員は、前政権が懸念していた合同訓練が30日に行われる予定であることを28日、政府の発表前にSNSで発信した。
アン氏は「26日から29日まで行われる韓米合同海上訓練が終了した後、韓米両海軍は東海(日本名・日本海)上で、日本の海上自衛隊と共に対潜水艦訓練を実施する」と明かした。その上で「予定されている訓練場所は韓国作戦区域(KTO)の外側だが、独島からわずか150キロしか離れていない場所」と指摘。「日本が単独で、あるいは日米が合同訓練をするのではなく、韓国の国軍が快く日本の海上自衛隊と合同訓練をするということだ」とし、「有事の際、朝鮮半島に日本の自衛隊介入を許容するということなのか、ユン・ソギョル(尹錫悦)政権の安保思想に疑問を感じる」と批判した。
さらにアン氏は、日韓の懸案問題にまで話を広げ、「強制徴用(元徴用工問題)も慰安婦問題も韓国政府が解決策を持ってこいという態度の国と軍事作戦を、それも独島の150キロの近い場所で行うとは話にならない」とし、「『共に民主党』は大韓民国の国家安保の棄損を決して看過しない」と怒りをにじませた。
一方、韓国国防部はアン氏が訓練の日程や内容を、発表前に公表したことについて遺憾の意を表明した。国防部は対潜水艦訓練の場合、相当なセキュリティが求められる訓練であることを考慮し、発表時期について調整していた。国防部は「訓練に関する一部内容が個人のSNSで公開されたことは極めて遺憾」としている。
今回の訓練について野党側から批判が上がる一方、北朝鮮の専門家からは評価する声も出ている。イファ(梨花)女子大学北朝鮮学科のパク・ウォンゴン教授は、韓国紙・中尾日報の取材に「海上自衛隊は対潜水艦戦と機雷除去戦ではアジア最高の実力を持つ。米国が主導して韓日間の軍事交流を増やし、北の核・ミサイルへの対応能力を高めようとするものだ」と話した。
一方、北朝鮮は29日、前日に続き弾道ミサイル2発を発射した。北朝鮮によるミサイル発射は巡航ミサイルも含めて今年21回目。29日まで実施された米韓合同演習に加え、今回行われた日米韓合同訓練への反発とみられる。
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