日本で3日、臨時国会が召集された。岸田文雄首相は所信表明演説を行った。韓国についても言及し、韓国メディアは韓国に関する言及について、昨年10月と12月の所信表明演説や、今年1月の施政方針演説との違いを指摘し伝えた。

 岸田氏は演説で、韓国について「国交正常化以来、築いてきた友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係を健全な関係に戻し、さらに発展させていく必要があり、韓国政府と緊密に意思疎通していく」と述べた。

 岸田氏は昨年12月の所信表明演説と今年1月の施政方針演説では「重要な隣国である韓国に対しては、わが国の一貫した立場に基づき、適切な対応を強く求める」とし、元徴用工問題など日韓の懸案について、韓国側が解決策を講じるよう強調していた。

 韓国経済新聞は岸田氏の今回の所信表明演説について、「韓国政府が責任を持って懸案を解決することを要求した既存の表現に代わり、韓国政府との緊密な意思疎通を強調した」とこれまでの演説内容との違いを指摘した。また、聯合ニュースは「韓国に対して、『重要な隣国』との規定を維持しつつ、国際社会の多様な課題に共に対応する必要があるという意思を盛り込んだ」と分析した。

 岸田氏は先月21日(日本時間22日)、ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領とニューヨークで約30分間にわたり懇談した。両国の首脳が一定の時間をかけて協議するのは、2019年12月に当時の安倍晋三首相とムン・ジェイン(文在寅)大統領が行った会談以来、2年9か月ぶりのことだった。両首脳は、日韓両国は互いに協力すべき重要な隣国であり、両国に米国も加えた3か国での協力を推進していく重要性を確認。また、北朝鮮への対応でさらに連携していくことで一致したほか、尹氏からは拉致問題をめぐって日本の立場を支持する考えが示された。さらに、日韓最大の懸案である元徴用工問題などを念頭に、両国間の懸案を解決し、日韓関係を健全な関係に戻す必要性を共有し、未来志向で発展させていくことで一致した。

 聯合ニュースは、今回の岸田氏の所信表明演説がこれまでの演説と違いが見られることについて「ニューヨークで韓日首脳間の『略式会談』が実現するなど、両国間の対話が活発になっている状況と関連があるとみられる」と分析した。

 一方、「岸田首相が韓日の懸案に柔軟に対応する可能性を示唆したかどうかは定かでない」と指摘。今回の演説で岸田氏が「国交正常化以来、築いてきた友好協力関係」と表現したのは1965年の日韓基本条約と共に締結した日韓請求権協定を念頭に置いた表現と解釈することもできると伝えた。

 日韓請求権協定は日韓双方の債権・債務の関係を清算するために結んだ条約で、第2条では、日韓両国とその国民の間の財産、権利、利益、請求権協定に関する問題が「完全かつ最終的に解決された」ことを確認している。このため、日本政府は元徴用工問題や慰安婦問題などの戦後補償問題について、これまで一貫して「解決済み」との立場を取っている。

 今後、岸田氏が韓国と積極的に向き合うことについて、韓国メディアは懐疑的な見方を伝えている。ハンギョレ新聞は、ここ最近、岸田内閣の支持率が下降の一途をたどっていることに着目。支持率低下の一因にもなった安倍晋三元首相の国葬は先月27日に執り行われたが、今後、物価高騰や旧統一教会をめぐる問題などが打撃になり、岸田政権が危機的状況に陥りかねないとする日本メディアの報道を引用した上で、「こうした状況で韓国と向き合えば、岸田首相の支持率はさらに低下せざるを得ない」と分析した。与党・自民党の支持者には、韓国と前のめりになって対峙することに慎重な意見も多い。政権が揺らぐ状況下で、支持者からも反発を招きかねない状況をつくり出すことは考えにくいというのが同紙の見方だ。

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