<W解説>4日の北朝鮮による中距離弾道ミサイル発射で日韓に突き付けられた課題(画像提供:wowkorea)
<W解説>4日の北朝鮮による中距離弾道ミサイル発射で日韓に突き付けられた課題(画像提供:wowkorea)
韓国軍が北朝鮮に対抗して今月4日深夜から5日未明にかけて発射したミサイルのうち、弾道ミサイル「ヒョンム(玄武)2C」1発が、発射直後に基地内に落下し、炎上する事故が起きた。しかし事故の事実は5日朝まで公表されなかった。地元消防には火災原因を尋ねる電話が殺到するなど住民の間に不安が広がった。韓国紙・中央日報は6日付の社説で「地域に被害を及ぼす恐れがあるミサイルの落下事故の事実を地域住民に知らせなかったのは理解できない」と批判した。

 韓国軍が米軍と共に行ったミサイル発射は、北朝鮮が4日午前に中距離弾道ミサイル1発を発射したことへの対抗措置として行われた。4日午後11時頃、北東部のカンヌン(江陵)の空軍基地から日本海に向け、弾道ミサイル「玄武2C」を発射した。しかし、予定の海上方向とは逆の陸地方向に飛び、直後に民家から約700メートルの基地内に落下。燃料が引火し火災が発生した。地元消防当局には「爆弾音がして閃光が見える」などといった通報が相次いだ。住民が撮影した映像も相次いでSNSに投稿され、地域に不安が広がった。炎を目撃した住民の一人は韓国紙・中央日報の取材に「飛行機が離陸するような音がしたした後、ドーンという轟音(ごうおん)が鳴り響いた。炎が100メートルほど上がり、大量の煙が広がった」と語った。

 一方、軍や消防当局は事故後8時間余りにわたって事故の事実を明らかにせず、住民への防災メールの送信なども行わなかった。この事故で人的被害はなかったが、当局が事故の発表を控えたことから、ネット上では「8人が行方不明」などとデマも流れた。

 「玄武2C」の落下事故から約2時間後に発射した地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」は計画通りに飛行した。

 韓国軍は、今回のミサイル発射計画について、保安上の理由から韓国メディアには報道解禁時間を5日午前7時としていた。そのため、事故に関しても午前7時まで報道を控えるよう要請していた。

 事故を受けて韓国軍は「近隣住民を驚かせてしまい、大変遺憾」と謝罪し、原因究明に努めるとしている。しかし、事故をすぐさま発表しなかったことへの批判が高まっており、中央日報は6日付の社説で、「関連内容がなぜ(住民らに)伝達されなかったのか、それとも他に理由があったのかを明らかにしなければならない」と求めた。

 また、聯合ニュースは「韓国軍は北朝鮮の挑発に対抗するための措置に乗り出したものの、ミサイル落下で面目をつぶしたとの指摘もある」と伝えた。

 韓国は、2017年9月にも、北朝鮮が日本上空を越える弾道ミサイルを発射したことへの対抗措置として「玄武2」を2発発射したが、うち1発は発射から数秒後に海に墜落している。

 北朝鮮が最近、ミサイル発射を連発している中、今一度、有事の体制を点検する必要があるだろう。

 日本も例外ではない。4日に北朝鮮がミサイルを発射した際、Jアラート(全国瞬時警報システム)に不具合が発生した。関係地域にJアラートで避難情報を発信する際、注意の必要のない、東京都の島しょ部の9つの町と村にも発令され、混乱を招いた。

 磯崎仁彦官房副長官は5日、不具合の原因について「Jアラートの自動送信をする際、過去の訓練による送信先の情報が本来、消去されるべきところ、オペレーターの画面では確認できないシステム上の不具合で消去されなかったことから送信されてしまった」と説明している。不具合は6日までに修正された。

 また、今回、Jアラートの発信がこれまでで最も遅かったことが分かった。Jアラートが初めて情報を発信したのは2012年で、この時は発射から約6分かかったが、その後改善され、2017年には3分に短縮された。しかし、今回は青森県への情報発信が発射から約7分後となり、これまでで最も遅かった。日本政府は速やかな発信に向け、改善策を検討する方針だ。


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