この日発表された「THE世界大学ランキング」は、2004年から公開されている世界的な大学ランキング。教育、研究、知識の伝達、国際的展望の4分野にわたり、13項目について総合力を評価・分析した。今回は104か国1799の大学が評価対象となった。
1位は英国のオックスフォード大だった。同大が1位となるのは2017年から7年連続。2位は米国のハーバード大、3位は英国のケンブリッジ大と米国のスタンフォード大で、上位10位までを英国と米国の大学が占める結果となった。
韓国の大学はソウル大が56位で最も高かったが、前年より2ランク順位を下げた。これに続いてヨンセ(延世)大が78位、韓国科学技術院(KAIST)が91位、ポハン(浦項)工科大が163位、ソンギュンガン(成均館)大が170位、ウルサン(蔚山)科学技術大が174位だった。
今回の結果について、韓国紙の毎日経済は「『教育100年大計』というのに…、韓国の大学、国際競争力『また』下り坂」と否定的な見出しで報じた。同紙は延世大やKAISTなどで昨年より順位を上げたものの、順位を落とした大学がソウル大など11大学に上ったことを指摘。「政権がかわるたびに『教育100年大計』が叫ばれるが、韓国内の大学の競争力は数年遅れをとっている。少子化などで大学財政が悪化する中、研究者らが講義や研究のほかに大学運営業務に時間を取られる悪循環が繰り返されている」と問題視した。
韓国では来年までに国公私立大学の入学金を完全廃止する。入学金の廃止は教育費の負担を減らす政策の一環として、ムン・ジェイン(文在寅)前大統領が掲げた公約の一つ。韓国国会では2019年8月、大学の入学金を廃止して、学期別の学費を2回以上に分割して納入できるようにする「高等教育法改正案」が可決した。この改正案には、入学金を2022年までに段階的に廃止し、2023年には完全に廃止することで教育部(部は省に相当)と私立大学総長協議会が合意した内容が反映されている。
入学金の廃止は、大学側にとっては収入減につながり、毎日経済は大学財政の悪化が研究や教育の質に悪影響を与えている可能性を指摘。「一部の大学では教育部の財政支援に頼るしかない状況で、教授が講義や研究に集中しにくいとの声が上がっている」と伝えた。
一方、今回、前年よりも順位を上げた大学もある。特に延世大の近年の順位上昇は著しく一昨年の187位から昨年は151位、そして今年は78位まで上がった。大学の核心能力を示す指標で大きな改善を成し遂げ、教育条件部門は昨年より9.1点、研究実績は10.7点、論文被引用度は8.2点それぞれ上昇した。
延世大は韓国を代表する名門私立大学で、ソウル大、コリョ(高麗)大と共に「SKY Universities」と呼ばれ、難関大学の一つに挙げられる。1885年に朝鮮王朝では初となる西欧型の王立の官僚・医療人材養成機関として設立した廣惠院が前身で、韓国で最も歴史の古い大学としても知られる。卒業生の多くが、政財界や大手企業、医療界、法曹界などで活躍している。
延世大は近年の大学ランキングの顕著な上昇について、毎日経済の取材に「国家の研究開発を引き受けるための予算を編成し、大学として支援に乗り出した。その結果、貴重な研究に参加する機会が増えたほか、論文執筆も多くなり研究能力点数の上昇につながった」と説明した。また、現在の総長が任期のはじめ、論文被引用数に対するインセンティブを強化する方針を示したことが教授のモチベーションをアップさせ、質の高い論文執筆につながったことも一因と分析した。
今回、韓国を除くアジアの大学では、中国の清華大の16位が最高で、北京大が17位、シンガポール国立大が19位、東京大が39位、京都大が68位だった。いずれも名門大学として知られているが、上位10位以内を独占した米英の大学に大きく離される結果となった。
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