国際エネルギーシンクタンクの「エンバー」によると、韓国の発電量全体に占める太陽光の発電量は今年5月、過去最高の7.17%に達した。太陽光発電量の割合は。韓国では2016年には1%にも満たなかったが、昨年には4%を超え、そして今年5月、初めて7%台となった。太陽光発電量の国別順位で、韓国は現在9位にランクインしている。韓国のみならず、アジア全域で太陽光の発電量が増えており、10年前はアジアで上位10位以内の国は日本と中国の2か国だけだったが、現在はアジア諸国が5か国も上位10位以内に入っている。
太陽光発電の拡大に力を入れている韓国では、中部のテジョン(大田)市とセジョン(世宗)市の間に「自転車道路太陽光発電所」と呼ばれる道路が存在する。高速道路の中央分離帯部分に太陽光パネルの屋根がかかっており、その下は自転車が通れるようになっている。2016年から運用が始まった。2019年には中部のアサン(牙山)に鉄道の廃線跡を活用した太陽光自転車道路も整備された。10.2キロの区間に太陽光発電設備の設置区間が7.5キロあり、屋根平面据え置き型太陽光パネル約1万8000個が設置されている。年間の発電量は866メガワットで、これは2万2774世帯が使用できる電気量という。
ハイペースで設置が進められてきた太陽光設備だが、パネルの寿命中に設置費用の回収が難しいものが相当数あることが分かった。朝鮮日報の報道によると、与党「国民の力」の議員が文化体育観光部(部は省に相当)に依頼し提出を受けた資料によると、全国の文化体育観光部所管の機関に設置された太陽光設備のうち、稼働日数が1年に満たないものを除いた24施設を対象に経済性分析を行ったところ、設置費用を回収するのに平均44年かかることが分かった。パネルの平均寿命は約30年とされ、この間に設置費用を回収できる見込みの公共施設はわずか5か所にとどまった。
太陽光設備が設置された公共施設の費用回収機関を見てみると、国立現代美術館は430年、大韓障害者体育会イチョン(利川)選手村総合体育棟は215年、同教育等は138年、大韓民国歴史博物館は108年などと、パネルの平均寿命をはるかに超えた回収年月がかかることがわかる。
文前政権は2020年9月に新再生可能エネルギー法を施行し、政府や公共機関に一定割合以上の新再生可能エネルギー設備の設置を義務付ける割合を40%まで引き上げた。これにより、太陽光設備の設置が進んだわけだが、発電量が全電気使用量のわずかにとどまっている施設もみられる。朝鮮日報によると、インチョン(仁川)国際空港に設置された太陽光発電設備の発電量は、同空港の全電気使用量の0.89%にとどまっているという。同空港には駐車場や旅客ターミナル屋上など太陽光パネルが設置されており、パネルの面積は計7万8695平方メートルに達する。設置には287億ウォン(約29億円)の予算が投じられた。しかし、2017年から昨年まで、同空港公社の全電気使用量298万4789メガワット時のうち、太陽光発電量は2万6768メガワット時にとどまった。
同空港公社に資料請求し、この実態を明らかにした「国民の力」所属の議員は「底が抜けた太陽光発電設備に莫大な予算をかけるという喜劇が今もあちこちで繰り広げられている。荒唐無稽な再生可能エネルギ-目標の発電容量に現実を合わせるには、韓国全土が太陽光パネルで覆われたとしても足りない状況だ」と指摘した。
太陽光設備が広まったのは、脱原発を推し進めた前政権が、原発に代わる再生可能エネルギーの拡大を目指したことによるところが大きい。しかし、5月に就任したユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は、脱原発政策の撤廃を主要国政課題の一つに掲げている。
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