訓練は、北朝鮮で発射準備の兆候が確認されている、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に対応することを目的に行われた。日米韓3か国が日本海上で合同訓練を実施するのは、2017年4月に韓国南部のチェジュ(済州)南方の日韓の中間水域の公海上で対潜水艦訓練を行って以来、およそ5年ぶりのことだった。韓国海軍の駆逐艦や米海軍の原子力空母ロナルド・レーガン、海上自衛隊の護衛艦「あさひ」などが参加した。
野党「共に民主党」は今回の訓練について、竹島(韓国名・独島)から約150キロの場所で行われるとして、実施前から批判してきた。同党のアン・ギュベク議員は「日本が単独で、あるいは日米が合同訓練をするのではなく、韓国の国軍が快く日本の海上自衛隊と合同訓練をするということだ」とし、「有事の際、朝鮮半島に日本の自衛隊介入を許容するということなのか、ユン・ソギョル(尹錫悦)政権の安保思想に疑問を感じる」と非難した。さらにアン氏は、日韓の懸案問題にまで話を広げ、「強制徴用(元徴用工問題)も慰安婦問題も韓国政府が解決策を持ってこいという態度の国と軍事作戦を、それも独島から150キロの場所で行うとは話にならない」とし、「『共に民主党』は大韓民国の国家安保の棄損を決して看過しない」と怒りをあらわにした。
こうした批判に、韓国軍合同参謀本部のキム・スンギョム(金承謙)議長は訓練が行われた海域について「独島から185キロ、日本の本土から120キロの海域で、むしろ日本のほうに近かった」と証言した。また、韓国外交部(外務省に相当)の報道官は11日、今回の訓練が自衛隊を軍隊と認める行為だとの批判が出ていることに関し「韓国政府の承認なしには、日本の自衛隊は韓国の領域に進入できない」との立場を示した。その上で、高度化する北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対応するためには、韓米日3か国の安保協力はさらに重要になるとして、合同訓練の意義を改めて強調した。
「共に民主党」は与党時代から「親日」のレッテル貼りを支持拡大の材料にしてきた感は否めない。その筆頭とも言える李代表は、ソウル近郊のキョンギド(京畿道)知事時代在任中には、「親日残滓(ざんし)清算プロジェクト」を推進。道内の教育現場における親日・日帝残滓の清算を行った。先の大統領選に出馬した際には対日強硬的な発言を繰り返した。しかし、こうした発言が有権者から一定の支持を得られたことも事実だ。
日米韓合同訓練をめぐって「親日攻防」が激化している現状に、韓国経済新聞のチョ・イルフン論説室長は同紙のコラムで「また親日論争だ」と嘆いた。その上でチョ氏は「本当に気になる。いったい何が親日なのか。親日はある主張や行動が日本に有利だったり、日本の利益に奉仕したりする場合に使える言葉だ。それならレクサスを買えば親日なのか。日本に旅行に行ったり、留学に行ったりするのはどうか。2019年の日本製品の不買運動以後、しばらく苦戦していたユニクロが再び伸びているのは、韓国の国民が反日から親日に変わったためか」と疑問を呈し、「このように滑稽な質問を投げかけなければならないほど、親日論争は低レベルになっている」とした。そして「親日行為を活用して利益を得ようとする人が絶えないのも事実だ」と指摘した。
北朝鮮はこのところ異常なペースでミサイル発射を繰り返しており、2017年9月以来の核実験に踏み切るのも時間の問題とされている。その脅威に対処するため、日韓の連携の必要性は増している。そうした動きにまで「親日」とレッテルを貼ることが、果たしてどれほどの支持を得られるのだろうか。
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