先月9日には、東京・北区のJR赤羽駅で、「朝鮮人コロス会」と記された落書きが見つかった。同駅近くには東京朝鮮中高級学校があり、同校の多くの児童・生徒たちも同駅を利用している。問題の落書きはホームに掲示されていた横断幕に書かれており、既に消去されたが、児童・生徒、保護者には不安が広がっている。
人種差別撤廃を目指す研究者や弁護士でつくる「外国人人権法連絡会」などは18日、法務省に対し、ヘイトクライムの防止を求める要請文を提出。「ヘイトクライムが現実的に起こりえる危険な状況で、子どもたちは恐怖にさらされている」などとしている。要請文を受け取った同省の担当者は「ヘイトスピーチが許されないのは同じ思い、今日の話を受け止めて対応を検討する」と返答があったという。
全国朝鮮学校校長会によると、北朝鮮が発射したミサイルが日本上空を通過した4日以降、8日までに朝鮮学校6校に脅迫などの電話があった。また、4日の夜には、JR埼京線の電車内で東京朝鮮学校の中級部の生徒が「おまえ、朝鮮学校の生徒だろ」と男性から因縁をつけられ足を踏まれる暴行事件も発生。男性はさらに「日本にミサイル飛ばす国が高校無償化とか言ってんじゃねーよ」などと暴言を吐いたという。三重県や兵庫県でも生徒が暴言を浴びせられたことが確認されている。
ヘイトクライムは後を絶たず、2020年1月には神奈川県川崎市の多文化交流施設「川崎市ふれあい館」在日コリアンを脅迫する内容の年賀はがきが送り付けられた。また、昨年3月には同館の館長宛に「死ね死ね死ね…」などと書かれた封書が届いた。
昨年8月30日には、在日コリアンが多く暮らす、京都府宇治市ウトロ地区で倉庫や住宅などが全半焼する火災が発生。その前月には名古屋市の在日本大韓民国民団(民団)や韓国学校の建物の一部が焼けた。これら建物に放火したとして、今年8月、非現住建造物等放火や建造物損壊などの罪に問われた男(23)の判決公判があり、京都地裁は「特定の出自を持つ人々に対する偏見や嫌悪感に基づくもの」と認定し、男に懲役4年の実刑判決を言い渡した。男は控訴せず刑が確定したが、京都新聞によると、判決後、同紙の取材に応じた男は「在日コリアンへの嫌悪感は変わらない」などと話したという。
朝鮮学校の教員や支援団体による法務省への要請書提出の動きに先立ち、東京弁護士会は13日、緊急のヘイトクライム対策を国に求める会長声明を出した。声明では「ヘイトクライムの問題性は、直接の被害者に対する加害だけにとどまらず、被害者と同一の属性を有しているすべての者に対し、『次は自分が標的となるのではないか』という恐怖心を与えることであり、また、差別意識を社会において扇動・促進し、新たなヘイトスピーチ及びヘイトクライムの連鎖を惹起(じゃっき)する点にある」と指摘。「当会は、連続するヘイトクライム事件を非難するとともに、政府に対し、ヘイトクライム対策を含む人権差別撤廃法の制定とともに、緊急のヘイトクライム対策を取ることを求めるものである」としている。
欧米ではヘイトクライムが社会問題化する中で、法整備が進むなど対策が取られている。しかし、日本は国連の人権差別撤廃委員会が人権差別禁止に関する包括法を定めることなどを勧告しているにもかかわらず、未だにヘイトクライム処罰を含む人種差別撤廃法を制定していない。
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