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韓国型3軸体系は、北朝鮮のミサイル発射の兆候を探知して先制攻撃するキルチェーン、発射されたミサイルを迎撃する韓国型ミサイル防衛体系(KAMD)、北朝鮮から攻撃された場合に指導部などに報復攻撃を行う大量反撃報復(KMPR)からなる。
当時のイ・ミョンバク(李明博)政権は、2012年の米韓安保協議会会議(SCM)で北朝鮮のミサイルや長射程砲を迎撃する「積極的抑止」の概念の「キルチェーン」を2015年までに構築すると発表。2010年に韓国の哨戒艦「天安」が北方限界線(NLL)付近のペクリョン島近海で北朝鮮による魚雷が原因で爆発した事件と、同年にNLLに近接した韓国のヨンピョンド(延坪島)に向け北朝鮮が砲撃を行った事件を受けての対応だった。続くパク・クネ(朴槿恵)政権が2016年9月、北朝鮮の5回目の核実験直後、北朝鮮指導部の除去を含む大量反撃報復を加え、「3軸体系」の概念が完成した。
しかし、北朝鮮との関係改善を図ろうとしたムン・ジェイン(文在寅)政権下では、北朝鮮への刺激を避けるため「3軸体系」の名称を「核・WMD(大量破壊兵器)対応体系」に変更。また、3軸体系を構成する「韓国型ミサイル防衛体系」は「韓国型ミサイル防衛」に、「キルチェーン」は「戦略標的打撃」に、「大量反撃報復」は「圧倒的対応」にそれぞれ名称を変えた。文政権当時、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記が3回にわたる南北首脳会談と、2018年の米朝首脳会談で、持続的に「完全な非核化」への意思を表明したことも考慮された。
政権が変わり、ユン・ソギョル(尹錫悦)現政権は「力による平和を実現する」として3軸体系の名称を復活させた。政府は今年8月、3軸体系の整備に重点を置いた2023年度の予算案を発表した。国防費は前年度比4.6%増の57兆1268億ウォン(約5兆8600億円)を計上。これは日本の2022年度防衛予算の約5兆4000億円を上回る。3軸体系の整備では、中高度偵察用無人航空機と地対空誘導弾「パトリオット」の改良や、長距離砲撃システム、230ミリ多連装ロケット、大型機動ヘリ、3000トン級潜水艦などに計5兆2000億ウォンを投じ、高度化を進めるとした。
最近、北朝鮮はミサイル発射を繰り返しており、尹大統領は14日「3軸体系は有効な防御体系」と改めて強調。「もちろん世界のどの国も敵が先制攻撃すれば、完全に先制対応したり、100%迎撃することはできない。しかし、3軸体系は相当な社会的、心理的抑止手段となる」と述べた。
韓国国防部は、来年からの5年間に、次世代戦闘機(FX)など40のキルチェーン戦力に約8兆5352億ウォン、長距離地対空誘導弾頭(LSAM)など18の韓国型ミサイル防衛体系戦力に約8兆3599億ウォン、特殊潜航艇など9つの大量反撃報復戦力に約4兆8849億ウォンの予算が必要とみている。また、基盤的な分野でも軍偵察衛星など、26の戦力に約8兆3599億ウォンを要するとしている。
しかし、北朝鮮がミサイルを連発している今、3軸体系では北朝鮮の核ミサイルの高度化を抑止するのは限界があるとの指摘も出ている。与党「国民の力」のチョン・ジンソク非常対策院長は12日、「金委員長(総書記)は10月10日の朝鮮労働党の創建日に『戦術核運用部隊』を公開した。大韓民国の港と空港が攻撃目標だと明らかにした。いつ、われわれの頭上に核爆弾が落ちるかわからない」と危機感をあらわにした。同党のキム・ギヒョン議員に至っては、「我々自ら核能力を保有するしかない」とし、「核武装論」を主張した。これに対し、政府関係者は「韓国が核兵器を配備するのは無理だが、アメリカの領土内にある核兵器を共有する案はある」とした。
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