2020年3月から停止していた日韓間の旅客船の航路は約2年半ぶりに再開することになった。この間、フェリーも貨物だけを載せて運行されてきた。コロナ禍前、釜山と日本を結ぶ航路は7つあり、釜山から下関(山口県)、博多(福岡県)、大阪、対馬(長崎県)などに向かう船舶は2009年以降、年平均120万人を運んだ。2018年には過去最多の143万人が船舶を利用して日本を訪問した。しかし、2019年は日韓関係の悪化で旅客数が激減。その後コロナの流行で休止に至った。日本路線を運航していた韓国の船会社の中には廃業した会社もある。
2020年7月から日韓航路で運行を始める予定だったJR九州高速船の新型高速旅客船「クイーンビートル」も休止となっていた。クイーンビートルは従来の高速船「ビートル」の老朽化に伴い、約57億円かけて建造された。ビートルはJR九州の初代社長の肝いりによるプロジェクトとして1990年に博多港と平戸(長崎県)、長崎オランダ村間で運航開始。翌91年から博多-釜山間の運航も始まった。博多-釜山路線は当初は乗客数が伸び悩み赤字路線だったが、2004年に韓国ドラマ「冬のソナタ」が日本で大ヒットし、その後の韓流ブームが追い風となって黒字路線へと成長した。
一方、新型高速旅客船として建造されたクイーンビートルは2階建てで、全長83.5メートル。世界初の80メートル級のトリマラン(三胴船)だ。従来のビートルから旅客数は約2.5倍に拡大され、定員は502人となった。博多港と釜山港を約3時間40分で結ぶ。デザインは工業デザイナーの水戸岡鋭治氏が担当した。運航中、シートベルトの着用が不要で、船内には免税店や飲食スペースもある。
クイーンビートルは2020年7月から日韓航路での運行が始まる予定だったが、コロナの影響で同航路は休止に。博多港と長崎港や門司港を結ぶ路線、福岡港を周遊するコースなどで運航していた。今月11日の日本政府による入国制限の緩和を受けて、JR九州高速船は韓国からの訪日客の増加を見込み、来月4日の運航開始を決定。以降、当面は週1便で運航する。具体的には、毎週土曜日の午前9時に博多港を、毎週日曜日の午後3時に釜山港をそれぞれ出発する。
日本政府がとってきたコロナ対応の水際対策が今月11日に大幅に緩和され、韓国では日本への旅行需要が高まっている。韓国の予約サイト、インターパークの調べによると、今月1~22日の日本路線の航空券の発見枚数は前年同期の約6.9倍に上った。日本政府が短期滞在の外国人にビザ(査証)免除措置と個人旅行を認めたことに加え、円安も追い風となっているとみられる。
一方で海路はこれまで再開が遅れていた。この間、韓国の旅行会社などには、航空運賃が高騰する中、船舶を利用した日本旅行を希望する人からの問い合わせが相次いで寄せられ、業界からは「韓国政府側から関連の指針が示されない」と困惑する声も上がっていた。
韓国海洋水産部は26日、日韓間の旅客船の運航の再開を発表。来月4日の釜山港と福岡港を結ぶ航路の再開を皮切りに、釜山港や韓国北東部の東海港と大阪港、下関港(山口県)、舞鶴港(京都府)のほか、長崎県の対馬を結ぶ航路も順次再開する。海洋水産部のチョ・スンファン長官は「コロナで困難を経験した旅客船会社と地域経済に活力を吹き込む」と述べた。
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