パク・ジヒョン の最新ニュースまとめ
梨泰院はハロウィーン直前の週末で大勢の人で集まっていた。梨泰院はソウル中央部にある繁華街でとして知られ、各国の大使館なども立ち並ぶエリア。韓国のケーブルテレビ局JTBCが2020年1月31日から同年3月21日まで放送し大ヒットしたドラマ「梨泰院クラス」の舞台になった場所としても知られる。ドラマはネットフリックスを通じて日本を含む世界に配信されたこともあり、梨泰院の街を一層有名にした。かつて、米軍の駐屯地があったことから外国の文化が集まりやすい場所で、外国人の姿も多くみられる。日本人にも人気のスポットだ。
一方、路地裏など、狭い道が点在する場所でもあり、事故が起きた通りも幅3～4メートルほどの細い坂道。事故当時は多くの人でごった返しており、29日午後10時ごろには10万人を超す人たちが訪れていたとの情報もある。一部の人が転倒したのをきっかけに、通りにいた人が、坂の下に向かって次々と折り重なるように倒れていったという。
現場はサイレンの音が鳴り響き、惨状と化した。韓国メディアは凄惨な現場の状況を伝えている。ニューシスの取材に応じた20代の男性は「一緒に梨泰院に来た彼女が亡くなった」とうつむきながら話した。また、事故現場から辛うじて脱出し、難を逃れた女性は「坂道の一番上から人々がドミノのように倒れ始めた」と当時の状況を語った。
ユン・ソギョル（尹錫悦）大統領は30日午前、緊急談話を発表した。尹氏は「実に惨憺（さんたん）たる思いだ。ソウルのど真ん中で起きてはならない悲劇と惨事が起きた」とし、「不意の事故で亡くなった方々の冥福を祈り、けがをした方々が早く回復することを願う。ご遺族にお悔やみを申し上げる。国民の生命と安全の責任を負う大統領として心が重く、悲しみを抑えきれない」と述べた。談話を発表し終えると、すぐさま事故現場の視察に向かった。
各国からも哀悼のメッセージが相次いでいる。岸田文雄首相は30日、自身のツイッターに「未来ある若者をはじめとする多くの尊い命が失われたことに大きな衝撃を受け、深い悲しみを覚えている」などと投稿。韓国政府・国民に対し「改めて連帯の意を表明する」とした。
米国のバイデン大統領やイギリスのスナク首相、フランスのマクロン大統領も哀悼の意を表明した。
事故を受け、韓国政府は30日から来月5日までを「国家哀悼期間」とすることを明らかにした。また、事故が起きたソウル市ヨンサン（龍山）区を特別災難（災害）地域に指定した。期間中、すべての公共機関で半旗が掲げられる。ソウル市内各所には合同焼香所が設けられる。また、公的なイベントは急を要しない場合、延期の措置が取られるという。
既に各種イベントも中止の措置が取られ始めており、ソウル近郊のヨンイン（竜仁）にある国内最大のテーマパーク「エバーランド」では、来月20日まで実施する予定だったハロウィーンプログラムを中止することを決めた。南部の釜山では30日に開催予定だったアジア最大級の韓流イベント「釜山アジアフェスティバル」のK-POPコンサートを中止した。トップクラスのアーティスト13組が出演予定で、4万人の観客が見込まれていた。
今回の事故は、2014年に高校生ら約300人が犠牲となった旅客船セウォル号沈没事故以来の惨事となった。今後は被害が拡大した経緯などの調べが進むことになる。警察の捜査本部は、既に現場周辺に設置の防犯カメラの映像の分析を進めている。今後、地元自治体が十分な事故予防措置を取っていたかについても調べる。
日本でも2001年に兵庫県明石市のJR神戸線朝霧駅の歩道橋上で、花火大会に向かう人たちと駅に向かう利用客が押し合いになって転倒する事故が発生し、11人が死亡、240人以上が重軽傷を負う事故が起きた。この事故では、花火大会の主催者の明石市や警備を担った警察が責任を問われることとなった。
今回の事故でも、最大野党「共に民主党」の議員らから「今回の事故は明らかに人災。昨年より多くの人が集まることは十分に予想できた」（同党のパク・ジヒョン前緊急対策委員長）などと責任を問う声が上がり始めている。
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