事実上廃棄？…米韓国防長官の共同声明で消えた「9・19軍事合意」

米韓国防総省間の第54回韓米安保協議会（SCM）共同声明で、ムン・ジェイン（文在寅）政府とドナルド・トランプ米政府の時に北朝鮮と締結した各種合意が消えた。北朝鮮の相次ぐ挑発で南北間の軍事的緊張緩和の制度的枠組みとして作用していた9・19軍事合意が、事実上廃棄手順を踏んでいる状況だ。

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　イ・ジョンソプ（李鐘燮）国防長官とロイド・オースティン米国防長官は3日（現地時間）、米ワシントンD.C.近くのペンタゴンで第54回SCMを開催し、会議の結果を盛り込んだ共同声明を採択した。今回の共同声明には、北朝鮮の核・ミサイル脅威に対応するための米拡張抑制公約の実行力向上方案が主だった。

　目立つ点は、昨年のSCM共同声明までは存在したパンムンジョン（板門店）共同宣言、9・19軍事合意、米朝間シンガポール首脳会談共同声明などの内容が抜けていることだ。

　前回の第53回SCM共同声明では「南北間の2018年板門店宣言とピョンヤン（平壌）共同宣言、2018年北米間シンガポール首脳会談共同声明、2005年6者協議共同声明など、既存の南北、北米、そして多国間約束に基づいた外交と対話が朝鮮半島の完全な非核化と恒久的平和定着を成し遂げるのに必須だという共同信頼を再確認し、堅固な連合態勢と国際制裁維持を通じて外交的努力を支援していくことにした」としていた。

　しかし、今回の第54回SCM共同声明ではこのような文言が消え、「北朝鮮の侵略に対する防御および対応態勢を維持し、朝鮮半島および域内安定を維持するために同盟を持続的に強化していくことにした」という言葉に変更された。

　このため、南北間の軍事的緊張緩和のための最小限の「安全装置」の役割を果たした9・19軍事合意は、有名無実になったものとみられる。北朝鮮が相次いで緩衝区域内に砲射撃を行い、国境地域での敵対的行為を禁止した合意に違反した。特に、南北が分断後初めて北方限界線（NLL）を越えて相手にミサイルを発射するなど、軍事的緊張が最高潮に達している状況だ。