<W解説>上場後初の黒字転換を達成した韓国のクーパンとは?日本でも急成長中(画像提供:wowkorea)
<W解説>上場後初の黒字転換を達成した韓国のクーパンとは?日本でも急成長中(画像提供:wowkorea)
韓国の電子商取引(EC)大手のクーパンが上場後初の黒字転換した。同社が今月10日に発表した2022年7~9は月の営業損益は、7742万ドル(約113億円)だった。日本でも2021年6月からサービスを開始し、このほど、クーパンアプリのダウンロード数は10万を超えた。

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 クーパンは韓国のECサイトであり、米国に持ち株会社を置くEコマース企業。2010年8月、米ハーバード大学MBAに在学中だった米国籍のキム・ボムソク氏が創業した。今やアジア最大級のEコマース企業の1社で、食料品や雑貨、総菜の配送やクーパンプレイによる動画配信など、さまざまなサービスを展開している。韓国のほか、日本や中国、シンガポールなどでサービスを展開している。韓国では、2017年に大規模な物流センターが設立されたほか、配送システムの継続的な改善により、業務効率が上昇。新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあって、売り上げを伸ばしている。昨年3月にはニューヨーク証券取引所に上場も果たした。そして今年7~9月期の連結決算が、上場後として初めて黒字転換した。

 しかし、ここまでの道は決して平たんではなかった。独自の配送網を使用した「ロケット配送」サービスを導入した2014年以降、営業赤字が続いていた。ロケット配送とは午前0時までに注文すると翌日に配送してくれるサービス。米アマゾン・ドット・コムの事業モデルを研究し、自社の物流センターに商品を保管することで、注文があればすぐに梱包して出荷するという形式でスピード配送を実現させた。アマゾンは、当日配送が可能な地域や商品が限られるのに対し、クーパンのロケット配送は、100万種類以上の商品を当日または、翌日未明に韓国全土の消費者に届けることが可能という。

 クーパンは2014年からの8年間、計6兆ウォン(約6000億円)の営業損失を出すも、赤字をいとわずロケット配送のための物流投資を続けてきた。市場からはこの間、クーパンのこうした挑戦に「底の抜けたかめに水を注ぐ」と冷ややかな目を向けられることもあった。

 しかし、今年初めころから潮目が変わったという。ロケット配送と生鮮食品の早朝配送サービス「ロケットフレッシュ」など、製品コマース部門の償却前営業利益(EBITDA)が今年1~3月期に黒字に転じた。

 7~9月期の売上高は前年同期比10%増の51億ドル(約7500億円)、営業損益は7742万ドルの黒字(前年同期比は3億1511万ドルの赤字)だった。最終損益も9067万ドルの黒字(前年同期は3億2397万ドルの赤字)といずれも黒字化した。

 この結果について同社は「継続的な投資による技術やインフラの改善、およびサプライチェーン(調達・供給網)の最適化が増益につながった」と説明している。

 また、創業者のキム氏は、黒字化について「配送インフラやIT(情報技術)に数十億ドルを投資した結果だ」とし、これに満足せず、投資を継続する意志を明らかにした。

 クーパンは日本においても急成長を遂げている。日本には2021年6月、東京・品川区にクイックコマースのダークストアの日本1号店をオープンしサービスを開始。さらに同年9月には目黒区に2号店を誕生させた。2号店が入居するビルの2階にクーパンジャパン合同会社の本社が入っている。現在、都内の配送可能エリアに自宅やオフィスなどが所在する顧客を対象に、5000種類を超える商品を配送するネットスーパーを展開。最短10分、税込み2000円以上の購入で送料無料といった利便性の高い配送サービスに加え、賞味期限の常時管理や出荷時の商品チェックなど品質管理を徹底。返金・交換対応する「鮮度補償制度」も設けるなど安全なサービスの提供に力を入れている。日本事業は軌道に乗り始めており、注文などに用いるクーパンアプリはこのほど10万ダウンロードを超えた。

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