<W解説>中国のOTTで韓国映画の上映が再開=「限韓令」解除につながるか?(画像提供:wowkorea)
<W解説>中国のOTTで韓国映画の上映が再開=「限韓令」解除につながるか?(画像提供:wowkorea)
韓国の大統領室は今月22日、中国のオンライン動画配信サービス(OTT)で、韓国映画の上映が再開されたことを明らかにした。中国は韓国と米国が2016年、米国の最新鋭地上配備型迎撃ミサイル「高硬度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備に合意したことに反発し、韓流コンテンツの流通を制限する「限韓令」を発令。中国の映画館や動画配信サービスなどで韓国映画の上映を禁止したほか、韓国の大衆文化の輸入や韓流スターの中国での活動などを不許可とした。THAAD配備に反対した中国による事実上の報復措置とされているが、防韓令そのものの存在について、中国政府はこれを公式には認めていない。今回、中国のOTTで韓国映画の上映されたのは6年ぶり。今月15日に行われた中韓首脳会談がきっかけとなったという。

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 韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領と中国の習近平国家主席は15日、主要20か国・地域首脳会議(G20サミット)が開かれているインドネシアのバリ島で会談。中韓首脳会談が開かれるのは2019年12月以来、約3年ぶりで、5月に就任した尹氏が習氏と対面で話すのは初めてとなった。

 会談は25分間行われ、尹氏は今年、中韓の国交樹立から30年を迎えたことに言及。相互尊重と互恵に基づいた成熟した韓中関係を目指し、経済交流や東アジアの平和と安定に向けて協力していきたいと伝えた。また、「国際社会の自由や平和、繁栄を追及する上で、中国の役割は非常に重要」とした上で、中韓が緊密に意思疎通する必要があるとした。これに対し習氏は「中韓は隣国であり、利害が広く重なっている。中韓関係を維持、強化、発展させ、地域と世界に多くの安定をもたらしたい」と応じた。

 また、尹氏は文化・人的交流の重要性を強調し、習氏もこれに同意。習氏は多様な分野で交流と意思疎通が行われるよう努力するとした。

 2017年に限韓令が発令されて以降、中国の映画館や動画配信サービスなどでは韓国映画の上映が禁止され、韓国の大衆文化の輸入や韓流スターの中国での活動なども認められなかった。

 そんな中、昨年9月には、5億人以上のユーザーがいる中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」の運営会社が、韓国の人気男性グループ「BTS(防弾少年団)」のメンバーJIMINのファンアカウントを60日間停止処分とした。同社は、ファンがJIMINの誕生日を前に韓国の航空会社の飛行機にラッピングを施すため資金を募ったことが、規約違反に当たると判断した。

 同社はほかにも「BLACKPINK」や「少女時代」のメンバーなど、K-POPアイドルのファンアカウント計21件に対し、「理性的ではない応援を広めた」として30日間のアカウント停止処分とした。

 中国当局は昨年、オンラインにおけるファンの無秩序な文化を取り締まるとする通知を発表。意中のアイドルを応援するための音楽アルバムを大量に購入したり、芸能人をランク付けしたりするなど、ファンの過激な行動を規制する方針も打ち出した。こうした一連の動きは、当時、韓国で「限韓令の再来」とも言われた。

 限韓令により、中国では長く韓国のドラマや映画が上映・放送されなかったが、昨年12月、韓国映画「オ!ムニ」が中国全域で公開され、今年1月には韓国ドラマ「サイムダン(師任堂)、色の日記」が放送開始。さらに3月には韓国ドラマ「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」が中国3大動画配信サービスの一つ、愛奇芸(iQIYI)で放送が始まった。相次ぐ韓流コンテンツの解禁に、限韓令解除となるかと期待が高まった。

 そして今回、OTTでも韓国映画の上映が再開された。ホン・サンス監督の2018年の作品「川沿いのホテル」(原題)で、中国のOTT「テンセントビデオ」で配信が始まった。韓国大統領秘書室のキム・ウンヘ広報首席秘書官は22日の会見で、尹氏が15日の中韓首脳会談で文化・人的交流の重要性や意思疎通の必要性を強調し、習氏もこれに同意したことから、中国はこれに応える形で、OTTで韓流コンテンツの配信サービスを再開したとの見方を示した。キム氏は「両国首脳の意味ある会談の成果を基に、中国の輸入禁止解除など、前向きな未来が広がることを期待しながら努力を続け、見守りたい」と述べた。

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