保健福祉部が発表した実態調査結果によると、韓国内で孤独死した人は2017年が2412人、18年が3048人、19年が2949人、20年が3279人、昨年が3378人と、この5年間で計1万5066人に上ることが分かった。男性が女性に比べ4倍以上多く、昨年は男性が2817人で女性(529人)の5.3倍だった。5年間の年平均の孤独死増加率も男性(10.0%)が女性(5.6%)を上回った。年代別では、昨年は50代が29.6%で最も多く、60代(29.0%)と合わせると半数以上を占めた。
孤独死は「50~60代の男性」が最も多いとの調査結果に、保健福祉部は「『男性=経済活動、女性=家事』という社会的雰囲気の中で年を重ね、家事労働などに不慣れなこの世代の男性が1人世帯になることが孤独死につながっている」と分析した。また、ソウル市福祉財団のソン・インジュ研究員は、韓国紙・ハンギョレ新聞の取材に「働いていない中年男性に対する社会的視線は今も冷たいため、彼らが経済的困難に直面すれば、周囲の人とコミュニケーションを取ることが難しくなるケースが多い。失業、事業の失敗、離婚などが社会関係の断絶の主な原因になっている」と指摘した。
今年4月、市場調査会社エムブレーンが韓国全土の19~59歳を対象に実施した調査では、87.7%が「私たちの社会は孤独だと思う」と答えた。20~30代と単身世帯は、10人中6人が自身が孤独だと感じていると答えた。孤独を感じる理由として「経済的余裕がないから」が37.7%と最も多く、「いつでも気軽に会える人がいないから」(34.4%)、「周囲に心を開ける人がいないから」(33.3%)、「他の人の幸せな姿と比較して」(30.4%)、「世の中に自分一人だけがいるような感じ」(29.7%)、「将来の不確実性」(28.9%)などと続いた。
こうした孤独を「個人の活動」で解消しようとしていた人も多かった。孤独解消法を尋ねたところ「テレビ視聴」が44.7%で最も多く、「就寝」(35.5%)、「音楽鑑賞」(35.3%)、「飲食」(34.4%)、「映画鑑賞」(31.9%)、「散歩」(30.6%)などと続いた。
韓国では昨年、「孤独死予防法」が制定され、政府は対策に乗り出した。前出の孤独死の実態調査も、同法に基づき実施した。孤独死の実態を国が調査し、正式な統計を発表したのは今回が初めて。
同法によると”孤独死”とは、家族や親類など周囲の人と関係を持たずに一人で暮らす人が、自殺や病気などにより誰にも看取られずに亡くなり、しばらくしてから遺体が見つかるケースを指す。
実態調査で、孤独死に占める自殺の割合は16.5~19.5%だった。若いほど孤独死の死因で自殺が多かった。昨年は20代の孤独死において自殺が占める割合は56.6%、30代は40.2%で、平均(17.3%)を大きく上回った。保健福祉部は「20~30代は自ら社会との断絶を選択し、福祉サービスなどを求めないケースがある。若年層の孤独死予防政策や精神・心理支援などの自殺予防政策を積極的に連携させる必要がある」と説明した。
今回の調査で、孤独の問題は特定の世代に限られた問題ではないことが明らかになった。保健福祉部は債務の内訳などを基に、孤独死のリスクがある人を発掘し、生活・心理支援などを行う「孤独死予防・管理モデル事業」を全国に拡大することを検討している。しかし、現在のところ実施されているのはソウルや釜山など9つの市・道のみ。ハンギョレ新聞は「孤立者を地域社会とつなげるとともに、福祉サービスを提供する専門人材の確保が急がれるとの提言がなされている」と伝えている。
保健福祉部のチョ・ギュホン長官は「関係省庁や自治体と協力し、来年1~3月期までに第1次孤独死予防基本計画を策定し、施行したい」としている。
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