聯合ニュースによると、この疑惑は、李氏が城南市長時代の2016~18年にNAVER(ネイバー)や斗山検察などの企業から城南FCに対する寄付金約160億ウォン(約16億5000万円)を引き出し、これら企業が建築の許認可や土地の用途変更などで便宜を受けたというもの。今月15日には、スウォン(水原)地検城南支部がNAVERのキム・サンホン元代表に出頭を求め、事情聴取を行った。NAVERは2015年と16年に4回にわたり、弱者支援のための公益法人、希望生活(現ジュビリー銀行)に40億ウォンを寄付し、希望生活は組織運営費用1億ウォンを差し引いた39億ウォンを城南FCに寄付していたという。金元代表はNAVERが寄付を行った時期に同社の代表を務めていた。
検察は金元代表のほか、希望生活の元常任理事で、「共に民主党」のチュ・ユンギョン元議員やNAVER系列企業の代表らにも寄付の経緯などについて事情を聴いた。
そして、今回、検察は疑惑の本丸である李氏に出頭を求めたことから、捜査は大詰めに入ったとみられる。李氏は22日、南東部のキョンサンプクド(慶尚北道)・アンドン(安東)で行った街頭演説で検察の出頭要請に触れ、「最も不公正で常識のない政権がユン・ソギョル(尹錫悦)政権だ」と反発した。李氏や「共に民主党」は尹政権下で加速する李氏らへの捜査に、「政治弾圧」と反発を強めている。李氏は検察が指定した28日には出頭に応じないとみられている。同党のアン・ホヨン首席報道官は「事前協議もなく、非常識な形で(検察から)連絡があり、一方的に指定された28日には応じられない」と不快感を示した。
李氏は慶尚北道・安東郡(現・安東市)生まれの58歳。貧しい家庭に育ち、小学校卒業後は少年工として働きながら検定考試に合格、中学・高校の卒業資格を得た。1986年に韓国の中央大学を卒業し、弁護士となった。
その後、2010年に城南市の市長に就任。17年の大統領選では、「共に民主党」の公認候補を選ぶ党内予備選挙に立候補したが、ムン・ジェイン(文在寅)前大統領に敗れた。18年から昨年10月まで京畿道知事を務めた。過激な言動がトランプ前米大統領に似ていることから、メディアはしばしば李氏について「韓国のトランプ」と表現してきた。対日強硬派としても知られる。今年3月の大統領選に立候補し、最後まで尹氏と激しい争いを見せたが、約24万票の僅差で敗れた。それまで国会議員の経験はなかったが、6月の補欠選で当選し、晴れて議員バッジを着けることになった。そして、7月、党代表選に立候補を表明。同党の歴代最高となる77.77%の支持を得て他の候補を圧倒し、勝利した。党代表に選出された李氏は当時、「身を削って完全に新しい民主党をつくることに全身全霊をかける」と宣言。「きょうは2年後の総選挙、5年後の大統領選挙への勝利の進軍を始めた日と記録されるだろう」と述べた。
李氏をめぐっては他にも疑惑がある。城南市長時代に主導した宅地開発事業で、側近らが巨額の利益を得たとされる「テジャンドン(大庄洞)疑惑」に絡み、李氏は今年9月、ソウル中央地検と水原地検城南支部から出頭要請を受けた。しかし李氏はこれに応じなかった。検察はその後、李氏を公職選挙法違反(虚偽の事実の公表)の罪で在宅起訴した。
また、大庄洞疑惑に絡み、検察当局はこのほど、李氏の最側近とされるチョン・ジンサン党代表室政務調整室長を特定犯罪加重処罰法上の収賄容疑などで逮捕・起訴した。チョン氏は城南市幹部だった2013年~2020年頃、開発に絡む資産管理会社の大株主ら複数の人物に便宜を図る見返りに計1億4000万ウォン(約1466万円)相当のわいろを受け取った疑いがある。
今回、またしても市長時代の疑惑で李氏は出頭要請を受けた。聯合ニュースは「『共に民主党』内でも李氏の『司法リスク』を懸念する声が一層強まりそうだ」と伝えている。
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