現代自動車は1986年1月、小型セダン「エクセル」を輸出する形で米国市場に初進出。2005年には南部のアラバマ州に最初の生産工場が完成した。累計販売台数は2007年に500万台、2015年には1000万台に達した。そして、今月22日、現代自動車の米国販売法人、ヒュンダイ・モーター・アメリカは「最近、ニューヨーク州にあるディーラーショップで1500万台目の新車を顧客に引き渡した」と明らかにした。ヒュンダイ・モーター・アメリカのランディ・パーカーCEOは「2022年の最後を『累積販売1500万台』で飾ることができ、非常に嬉しい」とコメントした。
これまで、累計販売台数が最も多いモデルは1991年に販売を開始したコンパクトセダン「アバンテ(現地名:エラントラ)」で、353万台を売り上げた。これに、中型セダン「ソナタ」(314万台)、多目的スポーツ車(SUV)「サンタフェ」(191万台)、小型セダン「アクセント」(136万台)、SUV「ツーソン」(134万台)の順で続いた。進出初期の小・中型セダン中心の販売から、近年はSUVが伸びている。また、昨年12月に販売を開始したEV専用モデルの「アイオニック5」が2万台を超えたほか、「コナ」EVモデルも累計販売台数が9000台に迫っている。
パーカーCEOは「現代自動車は米国で、電気自動車のラインナップと生産規模を拡大していく。今年驚くべき成果を収めたように、来年もその後も成長の勢いを維持していく」と語った。
しかし、現代自動車は米国市場で厄介な問題に直面している。米国では今年8月、「インフレ抑制法」が成立した。同法は、大企業や富裕層の課税強化などから財源を確保し、財政赤字を削減、EV購入やクリーンエネルギー導入といった気候変動対策と医療費負担軽減対策に4300億ドル(約59兆円)規模を投じるというもの。バイデン政権が最も力を入れている政策の一つだ。米国政府はEV1台当たり最大7500ドル(約103万円)の補助金を出し、2030年までに米国内の新車販売の半分をEVにする目標を掲げている。
しかし、同法に基づくEV補助金の対象になるのは北米内で最終的に組み立てられたEVのみ。EVに搭載するバッテリーも、北米または米国と自由貿易協定(FTA)を締結した国で調達されたリチウムなどの重要鉱物を一定割合以上含んでいることを条件に定めている。
現代自動車グループは韓国でEV車両を生産しているため、補助金の対象から外れる。このため、補助金対象となる他の自動車メーカーの同クラスEVよりも割高となることから、販売上不利になることが同法の成立当初から韓国側は懸念した。
実際、現代自動車の主力EV「アイオニック5」と、現代自動車グループ、起亜自動車のEV6の販売台数は先月、いずれも前月比減となった。アイオニック5の先月の販売台数は1191台で前月比24.5%マイナス、EV6は641台で前月比46%のマイナスとなった。
インフレ抑制法が、補助金の対象について北米内で組み立てられたEVに限定していることから、韓国側は是正を求めてこれまで米国側と協議を続けてきた。しかし、未だ解決には至っていない。米ホワイトハウスの大統領補佐官は今月12日の記者会見で「私たちは両国の経済的利益が考慮される着地点に到達できると確信している」と述べた。その一方で「インフレ抑制法は大きく複雑な法であるため、1日、1週間、1か月以内に解決できるものではない」とし、時間をかけて解決策を模索する考えを示した。
また、現代自動車は今年10月、米ジョージア州サバンナでEVとバッテリーの工場を建設すると発表、起工式を開いた。北米に生産拠点を設けることで、生産したEVを補助金の対象車とすることができる。2025年の量産開始を目指しており、年生産能力は30万台という。
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