2017年6月に国防部が公開した北朝鮮の無人偵察機と搭載カメラ (画像提供:wowkorea)
2017年6月に国防部が公開した北朝鮮の無人偵察機と搭載カメラ (画像提供:wowkorea)
北朝鮮の無人偵察機5機が軍事境界線(MDL)を侵犯し、大規模な偵察飛行を実施した。このうち1機はキョンギド(京畿道)パジュ(坡州)市を越えてソウル市北部の上空まで飛行した後、北朝鮮側に戻ったという。韓国軍は戦闘機と攻撃ヘリコプターを投入して撃墜を試みたが、民家と都心部への被害を懸念して実際に照準射撃は行わなかった。その代わり、有人・無人偵察機で北朝鮮の主要な軍事施設を偵察するなどの報復措置を行った。

合同参謀本部作戦部のイ・スンオ陸軍少将は26日、「韓国軍は10時25分に京畿道一帯で北朝鮮の無人偵察機と推定される未確認航跡を捕捉し、これに対応した」と述べ、「これは北朝鮮が韓国の領空を侵犯した明白な挑発行為だ」と糾弾した。

1機はソウル市の北部地域まで飛行した後に帰還し、残りの4機はカンファド(江華島)一帯を飛行した後、レーダーから消失した。これらの無人機の飛行地域はキョンギド(京畿道)キンポ(金浦)・坡州とインチョン(仁川)江華郡、ソウル上空までと広範囲に及んだ。これに対し韓国軍が報復作戦を行うため、仁川国際空港と金浦国際空港の航空機の離着陸が一時中断された。北朝鮮の無人機の飛行による民間航空機の運航中断は今回が初めて。

イ陸軍少将は「手続きに従い警告放送と警告射撃を実施した」と述べ、「航跡の追跡を行い韓国国民に被害を発生させない範囲内で対応した」と述べた。レーダーに捉えられた未確認航跡に対して、海上側にヘリコプターによる約100発の機関砲射撃を行った。しかしこれは「対応射撃」で、実際の撃墜射撃は行われなかったという。

イ陸軍少将は「報復措置として有人・無人偵察機を軍事境界線に近接した地域とその以北の地域に投入し、北朝鮮の主要な軍事施設を撮影するなどの偵察および作戦活動を実施した」と明らかにした。韓国軍は局地防空レーダーなどの探知機だけでなく、航空機の操縦士の肉眼でも無人偵察機を識別した。無人偵察機の大きさは2メートル級以下の小型で、2014年に韓国側で発見された北朝鮮の無人機と類似しているという。

北朝鮮は空軍の戦力の劣勢を克服するため、1990年代に無人偵察機開発に集中した。北朝鮮の無人偵察機の数は400機から1000機と推定されており、主に韓国側の情報把握と監視・偵察目的に使用されているとされる。

北朝鮮の無人偵察機による軍事境界線侵犯は、2017年6月以降5年6か月ぶりのことだ。当時、カンウォンド(江原道)インジェ(麟蹄)の山野で発見された北朝鮮の無人偵察機は、キョンサンブクド(慶尚北道)ソンジュ(星州)のサード(THAAD)基地まで飛行し一帯を撮影した後、北上する途中でエンジン異常により墜落した。

2016年1月には京畿道ムンサン(文山)で北朝鮮の無人偵察機が軍事境界線を侵犯したが、韓国軍の警告放送と警告射撃により帰還している。2015年8月には江原道ファチョン(華川)の軍事境界線南側上空を北朝鮮の無人偵察機が数回侵犯している。2014年にも京畿道坡州市、江原道サムチョク(三陟)市、ペクリョンド(白翎島)などで北朝鮮の無人偵察機の残骸が発見されている。

今回の北朝鮮の無人偵察機による挑発は、不足している航空戦力を誇示するためのものとみられている。これに先立ち、韓国側の専門家らが北朝鮮の衛星写真を「粗悪だ」と酷評したことに対し、キム・ヨジョン(金与正)労働党副部長が強い不快感を示している。

一方、今回の北朝鮮による無人偵察機への対応作戦のために韓国空軍のウォンジュ(原州)基地から離陸したKA-1戦術統制機が午前11時39分ごろに墜落した。操縦士2人は非常脱出し、病院で治療を受けている。
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