キム・ヒョンス の最新ニュースまとめ
日韓慰安婦合意は2015年12月28日、岸田文雄外相(現・首相)と韓国外交部(外務省に相当)のユン・ビョンセ長官(当時)との日韓外相会談でなされた合意で、慰安婦問題について「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と表明。韓国政府が元慰安婦を支援するために設立する財団「和解・癒し財団」に日本政府が10億円を拠出し、両国が協力していくことなどを確認した。翌2016年、元慰安婦らの支援事業を担う「和解・癒やし財団」が発足。日本政府は合意に基づき10億円を拠出した。しかし、合意の無効化などを公約に掲げた文氏が2017年5月に大統領に就任。韓国政府は2018年11月、財団の解散決定を発表し、日韓合意は事実上、白紙化した。
元慰安婦や支援団体は合意の無効を主張し、支援団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」は慰安婦問題の解決を求め、毎週水曜日にソウルの日本大使館前で抗議集会「水曜集会」を続けている。
一方、韓国外交部は昨年5月、慰安婦合意の内容について当時、正義連の前身である「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」の代表だったユン・ミヒャン(尹美香)現国会議員に事前に説明したことを示す文書を公開した。尹氏はこれまで、慰安婦合意について、被害者の意見を聞かずに合意したとして日韓両政府を批判してきており、この文書により、尹氏の主張が事実と食い違うことが明らかになった。「東北アジア局長と挺対協代表の面談結果(日本軍慰安婦問題)」と題したこの文書には「外交部の東北アジア局長が15年3月9日に挺対協の要請で尹氏と会い、慰安婦問題に関する韓日の協議動向や死去した慰安婦被害者に対する補償問題、被害者の意見のとりまとめなどについて意見を交わした」と記されていた。別の文書には外交部局長が尹氏に日本政府との合意内容を伝え、地方の慰安婦支援団体と合意内容を共有することについて協議した記録もあった。
尹氏は慰安婦合意がなされた当時、「韓国政府が元慰安婦や支援団体の意見を一切聞かずに日本と合意した」と反発。合意について「被害者の意見が反映されていない」とし、「被害者無視の合意」と批判していた。文書が公開され、尹氏のこれまでの主張は揺らぐ形となったが、尹氏は「最終的かつ不可逆的解決」という内容などについては当時、外交部から説明がなかったと反論している。
合意から丸7年となった12月28日、ソウルの日本大使館前では、正義連や610の市民団体でつくる「歴史正義と平和な韓日関係のための共同行動」が定例の「水曜集会」を開いた。両団体は日韓合意について「被害者を排除したまま屈辱的に合意に至った」と改めて主張。日本に対し、「植民地支配と戦争犯罪を認め謝罪すべき」と求めた。正義連のイ・ナヨン理事長は「(日韓合意は)戦争犯罪が『最終的に、不可逆的に』裁かれることを望む加害者に対し、国際社会で被害者が日本軍の性奴隷問題について言及することを禁じる権利を与えた。これを口実に歴史の否定とわい曲、被害者に対する侮辱が食い止めることができないほど広がった」と日韓合意を批判した。
解決の糸口さえ見えぬまま7年が過ぎ、この間、1人、また1人と元慰安婦たちは亡くなっている。94歳で先月26日に死去した前出の元慰安婦、イ・オクソンさんは、1993年に韓国政府に慰安婦被害を証言するなど、活動の先頭に立ってきた。韓国メディアの報道によると、イさんは南東部のテグ(大邱)で生まれ、16歳の時に日本軍に強制的に連れていかれたという。
イさんの死去を受け、慰安婦問題を管轄する女性家族部(部は省に相当)のキム・ヒョンスク(金賢淑)長官は哀悼の意を表した上で「女性家族部は被害者の方々が安らかに余生を送れるようきめ細かく支援する一方、被害者の名誉と尊厳の回復に引き続き努力する」と述べた。
韓国では昨年5月、日韓関係の改善に意欲を見せるユン・ソギョル(尹錫悦)大統領が就任した。尹政権はさまざまなアクションを起こしているが、慰安婦問題よりも、日韓最大の懸案とされる元徴用工問題への解決が優先されている感は否めない。
Copyrights(C)wowkorea.jp 3