<W解説>韓国の尹大統領が新年の辞で意欲を示した「3大改革」とは?(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国の尹大統領が新年の辞で意欲を示した「3大改革」とは?(画像提供:wowkorea)
韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領が1日、新年の辞を発表した。「韓国の未来が掛かっている労働、教育、年金分野の改革、いわゆる3大改革をこれ以上後回しにできない」とし、これらの改革を推進していく決意を示した。今年、就任2年目を迎える尹氏。3大改革のほかにも、北朝鮮問題、日韓関係修復、新型コロナ対策など、就任以来進めている政策をどのように進めていくのかも注目だ。国会では野党「共に民主党」が多数議席を占めている中、尹氏の政治手腕が試される。

尹氏の新年のあいさつは、大統領室で約10分にわたって行われ、その模様はテレビで中継された。尹氏は「まず、労働改革を通じ、経済成長をけん引していかなればならない」とし、「労働市場を柔軟に変えながら、労使、また労労関係の公平性を確立し、労働現場の安全を改善するためあらゆる努力を尽くす」と述べた。労働市場に関しては、職務や成果に基づく歩合制への転換を推進する企業と、強硬な労組に妥結して年功序列のシステムに埋没する企業に対する政府の支援を差別化しなければならない」とした。

尹政権では、一週間の労働時間が52時間を超えないようにする前政権の「週52時間勤務制」を事実上廃止し、使用者側と労働者側が合意の上で週単位だけでなく、月や年単位から選択して労働者の労働時間の上限を設けられるようにする考えを示している。

韓国の週52時間勤務制は、1時間に法定労働が40時間、延長労働が12時間までできるよう定めている。これに対し、延長労働の管理単位が日本は1か月、ドイツは6か月ほどで、主要国の中で韓国のように週単位で超過労働を管理する国は少ない。実際、週単位で厳しく管理される延長労働のため、多くの企業が困難に直面している。製品発売を控えて仕事が殺到する大企業の研究開発センターなどは、労働時間の制約で新製品を出す時期が遅れ、グローバル競争で遅れをきたすとの不満も出ていた。また、この制度は一昨年から従業員5人以上、30人未満の中小企業にも導入され、その結果、不足した収入を延長労働で充当していた技術者が大量離職し、中小企業は深刻な人手不足に陥った。

週単位の延長労働の管理を1か月以上に増やせば、こうした問題の大部分が解決できるとみられている。韓国の労働現場において、労働時間の改革は未来の競争力を左右する重要な課題となっている。

また、尹氏は新年の辞で教育改革について「未来世代が望む教育が受けられるよう、教育課程を多様化し、誰にでも公正な機会が与えられるようにする」と語った。

最後に、年金改革については、年金財政に関する科学的調査と研究、国民の意見聴取などをスピーディーに進め、国会に改革案を提出する考えを示した。韓国も日本同様、少子高齢化のため未来世代の負担が大きくなり、年金への信頼が揺らいでいる。年金改革をめぐる議論が本格化している中、韓国より先に年金保険料の引き上げなどの改革を実施した日本の事例を参考にしようと、先月21日には保健福祉部(部は省に相当)のイ・ギイル(李基日)第1次官が東京で厚生労働省の大島一博事務次官と会談している。李氏は大島事務次官のほか、専門家らとも面会し、年金制度や高齢者医療、介護政策などについて提言を受けた。

尹氏は昨年5月の就任以降、労働、教育、年金のいわゆる「3大改革」を国政の最重要課題と位置付けてきた。先月15日に開催された国政課題点検会議でも「3大改革」の推進に意欲を示し、「国の持続可能性のため欠かせないもので、未来世代のためのもの。選択ではなく必須」と強調した。

今年、就任2年目を迎える尹氏。長らく、低支持率に悩まされてきたが、ここに来て、回復の兆しが見られる。韓国の世論調査会社のリアルメーターが先月12~16日にかけて行った世論調査では、尹氏の支持率は41.1%で、前週から2.7%上昇した。同社の調査で尹氏の支持率が40%を超えたのは6月第5週(44.4%)以来となった。リアルメーターは支持率の上昇要因について尹氏の「3大改革」に着目。「労働、教育、年金分野の改革など本格的な前政権との差別化を進め、尹政権の国政運営の方向性を提示したことが上昇につながった」と分析した。

「3大改革」を軌道に乗せ、支持率V字回復となるか注目される。

Copyrights(C)wowkorea.jp 3