【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の無人機が先月26日に韓国に侵入してソウルの飛行禁止区域の北端を通過した問題で、韓国国防部の関係者は6日、「軍は1月1日まで、北端を通過した未詳の航跡を認知できていなかった」と記者団に説明した。無人機がソウルの中心部まで飛行したことを軍が隠蔽(いんぺい)したとも指摘されるが、「隠蔽したり虚偽の説明をしたりした部分はない」と述べた。 この関係者は、北朝鮮無人機による領空侵犯が発生して以降の軍の分析や対応などを順を追って説明した。 無人機侵入の翌日の先月27日、軍合同参謀本部の「戦備態勢検閲室」を含む検閲官約20人が、関連部隊の対応と無人機の精密な航跡を調べる作業に着手した。この過程で戦備態勢検閲室は、それまで識別できていなかった正体不明の航跡一つが飛行禁止区域の北側を通過した可能性があるとの報告を受けた。飛行禁止区域は大統領室付近を中心とする半径3.7キロに設定されている。 戦備態勢検閲室が金承謙(キム・スンギョム)合同参謀本部議長にこうした調査結果を最初に報告したのは今月1日だった。金氏はより正確に把握する必要があるとして補完調査を指示。戦備態勢検閲室は再調査の内容まで総合した上で2日夜、金氏に「北の無人機と推定される未詳の航跡が飛行禁止区域北側の一部を通り過ぎた可能性が高い」と改めて報告した。 合同参謀本部は3日、戦備態勢検閲室の報告内容を結論とすることを決め、4日に李鐘燮(
イ・ジョンソプ)国防部長官らとともに尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に報告した。 野党は飛行禁止区域侵犯の可能性を早くから指摘してきた。だが国防部関係者は隠蔽や虚偽の説明などはなかったとしながら、「過程で足りないところはあったが、常に最善を尽くして事実通り話すよう努めてきた」と強調した。 合同参謀本部は先月28日に国会国防委員会に、無人機の航跡に関する資料を提出した。この資料を見ただけでも飛行禁止区域侵入が疑われるという指摘に対し、合同参謀本部の関係者は「この経路は報告された内容を総合して、その時点までに分かったことを基に描いた」とし、後日の戦備態勢検閲室の調査により新たに確認された航跡は、もう少し飛行禁止区域寄りに南に下がったと説明した。 現政権発足に伴い大統領室は以前の青瓦台から竜山に移転し、飛行禁止区域は青瓦台を中心とする半径3.7キロから現在の大統領室を中心とする半径3.7キロに変更された。以前にもう一つ設定されていた半径4.6キロの区域はなくした。 飛行禁止区域の縮小が北朝鮮無人機の侵入を招いたという指摘もあるが、合同参謀本部の関係者は「防空資産はそのまま置いた。縮小していない」と強調。半径4.6キロの区域については「バッファーゾーン(緩衝地帯)」だったとし、これをなくすことで作戦に裁量が与えられ、より強力になったと言えると説明した。 一方、情報機関の国家情報院(国情院)は5日の国会情報委員会で、北朝鮮の無人機が大統領室庁舎を撮影した可能性を排除できないとの認識を示した。これは「距離と高度、敵の能力を考えると(大統領室などを)撮影することができないとみている」とする軍の見解とは異なる。 合同参謀本部の関係者は6日、「大統領室を撮影した可能性はない。たとえ撮影したとしても意味のある情報はなかっただろう」と述べ、これまでの見解を変えなかった。国情院も軍と同じ立場で報告したものの、「どこに傍点を置いて話したか」で違いがあったとした。
Copyright 2023YONHAPNEWS. All rights reserved. 40