<W解説>12日に開催する韓国外交部主催の徴用問題巡る討論会、韓日議員連盟が共催を取りやめたことの影響は?(画像提供:wowkorea)
<W解説>12日に開催する韓国外交部主催の徴用問題巡る討論会、韓日議員連盟が共催を取りやめたことの影響は?(画像提供:wowkorea)
日韓最大の懸案である元徴用工訴訟問題の解決に向け、幅広い関係者から意見を聞く韓国外交部(外務省に相当)主催の公開討論会が12日にソウルで予定される中、韓国の超党派の国会議員でつくる韓日議員連盟は9日、連盟としてこの討論会に出席しない方針を固めた。討論会は当初、外交部と同連盟が共催する計画だったが、連盟所属の野党議員から「連盟内部の意見を集約せず共催を決めた」などと反発の声が上がったため、共催を取りやめた。外交部と連盟の会長を務める与党「国民の力」のチョン・ジンソク非常対策委員長室の共催に変更された。連盟の幹事長を務める、最大野党「共に民主党」のユン・ホジュン議員は9日、「連盟会長や与党の議員が出席するかどうかはわからないが、連盟としての出席ではない」と述べた。

元徴用工訴訟をめぐっては、韓国の大法院(最高裁判所)が2018年11月に三菱重工業に対し、原告への賠償を命じた。しかし、賠償問題に関し、日本としては1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場で、同社は履行を拒んだ。このため、原告側は2019年1月に韓国内にある同社の資産の差し押さえと売却(現金化)に向けた手続きに踏み切った。2019年3月、中部のテジョン(大田)地裁は同社の韓国内資産である商標権2件と特許権6件の差し押さえを決定した。同社側は差し押さえ命令を不服として即時抗告したが、同地裁がこれを棄却。同社は地裁の判断を不服として大法院に再抗告したが棄却された。

これに伴い、同地裁は原告2人が求めていた計約5億ウォン(約5200万円)相当の同社の商標権と特許権の売却命令を決定した。同社側はこれに対しても抗告したが、棄却され、昨年4月、大法院に再抗告した。一方、大法院は再抗告についての判断を下していない。

しかし、仮に現金化がなされれば日本政府は制裁措置を取る構えで、そうなれば日韓関係は破綻するとさえ言われている。そのため、現金化は絶対に避けなければならないという認識では日韓両政府とも一致している。

昨年5月、日韓関係改善に意欲を示すユン・ソギョル(尹錫悦)大統領が就任し、尹政権は元徴用工訴訟問題の解決に向けさまざまなアクションを起こしてきた。解決策を模索し続けた結果、外交部は最近、「(解決策は)以前よりも絞られたのは事実だ」と明らかにした。外交部は現在、韓国の財団が元徴用工訴訟の被告である日本企業の賠償金を肩代わりする案を解決の「有力案」としているものとみられている。

外交部はこの問題の解決に向け幅広い関係者から意見を聞く公開討論会を12日にソウルの国会議員会館で開くと発表。原告側も検討の末、この討論会に参加することを決めた。韓国政府は今回の討論会で事実上最後の意見聴取を行った後、政府側の解決策を発表するとみられるが、原告側は政府の進め方に強く反発している。一方、外交部の当局者は討論会について「最終的な解決策を提示し、説明する場ではない」と強調している。

討論会の開催日が迫る中、韓日議員連盟は9日、国会で会合を開き、連盟が討論会を共催することを反対することで一致した。韓国の党党派の国会議員でつくる同連盟は、両国の発展や友好を目的に活動している。これまで、日本の日韓議員連盟とも協力して、両国の関係が困難な状況になるたびに政府間の交渉を支援し、民間レベルでの支援を引き出してきた。元徴用工問題の解決を目指す上でも、日本の国会議員と太いパイプも持つ韓日連盟が果たす役割は大きいが、直前になって今回の討論会の共催を取りやめる事態となり、その影響は小さくないとみられる。

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