李氏は城南市長だった2016~18年、NAVER(ネイバー)や斗山建設などの企業からプロサッカークラブの城南FCに対する寄付金約170億ウォン(約18億円)を集め、見返りにこれら企業に建築の許認可や土地の用途変更などで便宜を供与した第三者供贈の疑いが持たれている。李氏は、城南市長時代に同クラブのオーナーを務めていた。
この疑惑をめぐって検察は昨年11月、NAVERのキム・サンホン元代表に出頭を求め、事情聴取を行った。NAVERは2015年と16年に4回にわたり、弱者支援のための公益法人、希望生活(現・ジュビリー銀行)に40億ウォンを寄付し、希望生活は組織運営費用1億ウォンを差し引いた39億ウォンを城南FCに寄付していたという。キム元代表はNAVERが寄付を行った時期に同社代表を務めていた。
検察は斗山建設やNAVERなどを家宅捜索したほか、キム元代表や、希望生活の元常任理事で、「共に民主党」のチュ・ユンギョン元議員、NAVER系列企業の代表、そして李氏の最側近とされる元党代表室政務調整室長のチョン・ジンサン氏らから事情を聴いた。チョン氏は李氏の城南市長、京畿道知事時代に進められた都市開発事業に絡む収賄罪などで先月起訴されている。城南市の政策室長などを務めたチョン氏が、城南FCのスポンサー集めを主導した疑いがある。
李氏は10日、野党議員約50人を引き連れ、城南市にある検察支部に出頭した。記者団に対し、「検察はあらかじめ答えを全部決めている、答えが決まった起訴。政敵排除のため、検察は捜査権を乱用している」と捜査を批判。「正々堂々と立ち向かう」と語った。
この日検察支部前には、李氏の支持者約600人が集まり、捜査を批判するデモを行った。一方、保守系団体もこれに対抗して約500人が集まり、現場は一時、騒然とした。
同党は捜査について、検察出身のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領が、昨年3月の大統領選で争った李氏の追い落としを図る政治弾圧と位置付ける。同党のパク・ホングン院内代表は「最大野党の現職代表を検察に召喚した政権は韓国の憲政史上初めて」と尹政権を批判した。
李氏は慶尚北道・安東郡(現・安東市)生まれの58歳。貧しい家庭に育ち、小学校卒業後は少年工として働きながら検定考試に合格、中学・高校の卒業資格を得た。1986年に韓国の中央大学を卒業し、弁護士となった。
その後、2010年に城南市の市長に就任。17年の大統領選では、「共に民主党」の公認候補を選ぶ党内予備選挙に立候補したが、ムン・ジェイン(文在寅)前大統領に敗れた。18年から一昨年10月まで京畿道知事を務めた。過激な言動がトランプ前米大統領に似ていることから、メディアはしばしば李氏について「韓国のトランプ」と表現してきた。対日強硬派としても知られる。昨年3月の大統領選に立候補し、最後まで尹氏と激しい争いを見せたが、約24万票の僅差で敗れた。それまで国会議員の経験はなかったが、昨年6月の補欠選で当選し、晴れて議員バッジを着けることになった。そして、7月、党代表選に立候補を表明。同党の歴代最高となる77.77%の支持を得て他の候補を圧倒し、勝利。党代表に就任した。
李氏が逮捕・有罪となれば、2027年の次期大統領選での政権奪還を目指す李氏や同党には大打撃となる。しかし、韓国憲法第44条第1項によれば、現行犯である場合を除き、国会の同意を得ずに会期中に国会議員の身柄を拘束することはできない。韓国国会は、多数派である同党の単独召集により、9日に1月の臨時国会が始まった。国会が同意しなければ李氏は会期中は逮捕されない。与党「国民の力」は今回の臨時国会は李氏が拘束されることを防ぐために開かれたものだと批判している。今後の捜査の行方が注目される。
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