党代表ら新執行部を選出する党大会は3月8日に行われる。従来は党員の投票結果（70%）と一般国民の世論調査の結果（30%）で党代表を決定していたが、同党は党憲（党綱領）を改正し、今回から一般国民の世論調査は行わず、党員による投票のみで選出する。過半数の得票者がいない場合、決選投票を実施する。候補者登録は2月初めまで受け付ける。
党代表選をめぐっては先月27日、キム・ギヒョン議員が尹大統領に近い「親尹系」から最初に出馬宣言をした。キム氏は当選4回の63歳。裁判官・弁護士出身で2004年の国会議員選挙で初当選した。2014～18年までは南東部のウルサン（蔚山）市の市長を務めた。2020年の総選挙で当選して再び国会議員となり、2021年4月30日から昨年4月8日まで同党の院内代表を歴任した。
党代表選で「親尹系」がキム氏支持の方針を決めるや、出馬に意欲を示していたクォン・ソンドン議員は5日、代表選への不出馬を宣言した。クォン氏も「親尹系」議員の一人。記者会見を開いたクォン氏は「大統領の最側近が指導部入りする場合、党の運営及び総選挙で不要な誤解を招く恐れがあるという党員からの懸念と世論を受け入れることにした」と述べた。キム氏が既に出馬を宣言している中、クォン氏まで党代表争いに飛び込めば、「親尹票」が割れる懸念があった。クォン氏の電撃的な不出馬宣言をめぐって、韓国紙の東亜日報は「尹大統領の意向が働いたのではないか」との与党関係者の見方を伝えた。また、大統領室の関係者は同紙の取材に「クォン氏が尹政権の成功のために白衣従軍（一兵卒として従軍すること）の思いで不出馬を選択したようだ」と話した。クォン氏と尹大統領は頻繁に電話で話す間柄という。
クォン氏の不出馬によって、「親尹系」の党代表選候補がキム氏に一本化されたとのムードが広がる中、ナ氏が出馬するか否かが今後の焦点となっている。ナ氏はソウル市出身59歳。裁判官・弁護士出身。2004年の選挙にかつて存在していた保守系のハンナラ党から立候補し、初当選した。「韓国政界のマドンナ」、「選挙の恋人」などともてはやされたが、2020年の総選挙で敗れ、現在は大統領直属の少子高齢社会委員会の副委員長を務めている。また、2016年8月には、超党派の議員団の団長として、メンバーと共に島根県の竹島（韓国名・独島）にヘリコプターで上陸。島に駐留の警備隊を激励したほか、市民団体と意見交換した。
韓国メディアのニューシスが調査会社に依頼し、全国の18歳以上の男女1001人を対象に行った世論調査では、「『国民の力』の次期党代表として誰が最もふさわしいか」との質問に、同党支持者の26.5%がナ氏を選択し、選考度1位だった。一方、キム氏は10.3%で4番目だった。一般国民に回答対象を広げても、ナ氏は14%で2位に入った。
「キム・ギヒョン議員支持」の方針を固めた「親尹系」陣営はナ氏をけん制。キム・ジョンジェ議員は「政治は慎重かつ、長い目で見ることが望ましい」とし、ナ氏が現在、少子高齢社会委員会の副委員長を務めていることに触れ、「今なさっていることは大変意味があり、何の結果も出さずに辞めるのは残念だ。職務についてから3か月も経っていない、辞めて党代表選に出馬するのは負担になるだろう。人口問題に集中して結果を出し、尹政権に大きな貢献してほしい」と述べた。
「親尹系」陣営がナ氏に暗に不出馬を促しているのは、ナ氏が出馬するか否かによって決選投票への進出者だけでなく、最終結果まで混戦が予想されるためだ。同党関係者は東亜日報の取材に「世論調査で上位のナ氏が出馬すれば、キム氏が決選投票に行けない可能性も排除できない」と話した。
ナ氏は現在のところ態度を明らかにしておらず、「いろいろ考えてみる」などと代表選に関連する報道陣の質問に明確な回答を避けている。一方、東亜日報の電話取材には「多くの党員が私の出馬を望んでいるようだ。旧正月の連休（今月21～23日）前後に決定する」と話した。ナ氏の判断が注目される。
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