<W解説>行動制限なく迎える韓国の旧正月「ソルラル」=「国民大移動」の光景が今年は復活?(画像提供:wowkorea)
<W解説>行動制限なく迎える韓国の旧正月「ソルラル」=「国民大移動」の光景が今年は復活?(画像提供:wowkorea)
韓国では今月21日~24日まで旧正月の連休となる。今年は新型コロナウイルスの流行に伴う行動制限がなく、2648万人が帰省などで移動する予想が出ている。首都ソウルでは公営駐車場60か所を無料開放するほか、ソウルの地下鉄・バスの終電を延長するなど、多くの人出を見込んでの対応が取られることになっている。コロナ前までは「国民大移動」とも言われた、かつての旧正月で見られた帰省ラッシュの光景が戻ることになるのか。

韓国の旧正月「ソルラル」は1年の始まりを祝う名節として、旧暦のお盆「チュソク(秋夕)」とともに二大名節にあげられる。今年のソルラルは1月22日だ。ソルラルと前後の日は連休になるが、今年はソルラル当日が日曜日なため、振替休日を入れて21~24日までが連休となる。

ソルラルの伝統的な過ごし方といえば、親戚や近所の人同士が集まって「セベ(歳拝)」と呼ばれる挨拶を交わす。子どもたちにとっては挨拶の後にもらえるお年玉「セベットン」が楽しみの一つだ。「チャレ(茶礼)」と呼ばれる祭事も行われ、儀式の際には「チャレサン(茶礼床)」と呼ばれる神や先祖への特別な供養物が用意される。しかし、新型コロナの流行でこうした光景は少なくなり、AR(拡張現実)の技術を取り入れた端末を使って茶礼を行ったり、墓参りの代行サービスを利用したりするケースも見られた。

2021年のソルラルでは、韓国政府は旧正月の帰省ラッシュによるコロナの感染拡大を警戒。5人以上で集まることを禁止したほか、違反した場合には罰金を課す厳しい措置を取った。昨年も政府は警戒を緩めず、首相は国民に対し、移動自粛を呼びかけたほか、やむを得ない理由で帰省する場合、3回目のワクチン接種とPCR検査を必ず受けるよう求めた。当時、首相は「旧正月の連休に多くの人が地域間で活発な移動をし、互いに対面するようなことになれば、燃え上がる火に油を注ぐことと同じようになる」と強い表現を使って呼び掛けたが、前年に比べ国民の緊迫感は薄く、多くの人が帰省に踏み切った。こうしたことも影響してか、韓国では旧正月後、感染の急拡大を招いた。

今年は行動制限のない初めての旧正月を迎える。旧正月の祭礼用食材費は前年比3.7%増加した。また、韓国交通研究所は、20~24日までの5日間の人出予想を発表。全国で計2648万人、1日平均で530万人が移動すると見込んだ。このうち91.7%が乗用車、3.8%がバス、3.0%が鉄道、1.1%が航空機を利用すると予測した。昨年の旧正月に比べて連休期間が1日短いが、コロナ対策の行動制限がなくなり、日常生活の回復が進んだことで、移動人数は2.1%増、1日平均では22.7%増える見通しとなっている。

国土交通部(部は省に相当)は、20~24日までの5日間を「旧正月連休特別交通対策期間」と定め、関係省庁と合同で特別交通対策を実施する。バスや鉄道、航空機、船を増便して輸送力を引き上げる。高速バスは運行回数を通常よりも1日平均612回増やし、計14万席を追加で供給するという。市外バスは必要に応じて予備車両591台を投入する。鉄道は運行回数を計130回増やして計11万8000席に増やす。航空便は国内線を計101便増便して計1万5000席を追加供給するという。船も運行を300回増やす。

また、ソウル市は旧正月の総合対策を発表。それによると、ソウルの地下鉄と市内バスは運行時間が延長され、地下鉄は22~23日まで終電時間を1~2時間繰り下げ、翌日の午前2時まで運行する。市内バスも同様の措置を取る。ソウル発の高速・市街バスは既に18日から運行回数を通常より約2割増やしている。また、21~24日まで市営駐車場60か所を無料開放することを決めた。同市のユン・ジョンジャン都市交通室長は「連休にソウルを訪れる帰省客や観光客が駐車に困らないよう、支援に最善を尽くす」としている。

今年は旧正月の連休を利用して海外旅行に行く人も多いとみられ、韓国の大手旅行会社のハナツアーによると、旅行先として人気があるのは東南アジアと日本だという。同社の関係者は韓国紙・中央日報の取材に「旧正月連休の旅行商品の予約がほぼ締めきられるなど、旅行心理がよみがえったと実感している」と話した。

こうした様子からは、コロナの猛威などなかったような雰囲気を感じさせるが、コロナ禍には決してなかった体制が今なお取られている。ソウル市の各区は区内にコロナ検査所と臨時検査所を設け、弾力的に運営するという。

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