<W解説>韓国で3年ぶりに屋内のマスク着用義務解除へ=「マスク卒業」と自国メディア(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国で3年ぶりに屋内のマスク着用義務解除へ=「マスク卒業」と自国メディア(画像提供:wowkorea)
韓国政府は20日、新型コロナウイルスの感染対策のため取ってきたマスク着用の義務について、30日から原則解除すると明らかにした。「義務」から「勧告」へ緩和するという。韓国メディアは「840日ぶりの『マスク卒業』」などと報じている。

韓国では、新型コロナの流行以降、マスクの着用を義務化し、従わなかった場合、罰金を科す厳しい措置を取ってきた。しかし、政府は昨年5月、野外での集会やスポーツ観戦など50人以上が集まるイベントを除き、屋外でのマスク着用の義務を解除。さらに昨年9月26日からは、感染状況が落ち着きつつあることに加え、屋外でマスクの着用義務がない国が多いことなどを考慮し、屋外については全面解除した。

その後も屋内でのマスク着用義務は維持されてきた。しかし、経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち、屋内の全ての空間でマスクの着用を依然「義務化」しているのは韓国のみとなっている。

こうした状況に、国家感染症危機対応諮問委員会のチョン・ギソク委員長は昨年9月、ラジオ番組に出演し、屋内でマスクが外せるのは来年の春ごろになるとの見方を示した。チョン委員長はヨーロッパで開かれた学会に出席した際、呼吸器内科医も室内でマスクをしていなかったと明かし、「韓国でも外さなければとの考えを持っているが、致死率や重症度など、状況を見ながらいつかは政府に提言することになるだろう」と述べた。その時期についてチョン氏は「来年春ごろ」とし「インフルエンザが2年間流行らなかった理由はマスクを着けていたからだ」と指摘。「今冬は少し我慢して、来年春からはみんな一緒に外せるようになるだろう」と予想した。

そのチョン氏は10月、着用義務解除の時期を「来春」と予想していた時期を事実上、前倒しする形で「あと3か月我慢すれば屋内でのマスク着用による大きなストレスから解放されるだろう」との見解を示した。

その3か月が過ぎ、今年に入ってから屋内でのマスク着用義務解除に向けた動きが慌ただしくなり始めた。政府は先月、△患者発生状況の安定化△重症患者数と死者数の減少△安定した医療対応力△高リスク群の免疫獲得の4つの指針のうち、2つ以上で基準を満たした場合、中央災害安全対策本部が議論した上で、着用義務の緩和時期を決定する方針を示した。

これまで、基準を満たしていたのは「安定した医療対応力」のみだったが、最近になって「患者発生状況の安定化」、「重症患者数と死者数の減少」を加えた3つの指針をクリアし、義務の緩和時期を決定するための条件が整った。政府が把握した新規感染者数の週平均値は、昨年末は1日6万人程度で推移していたが、直近は3万人台に減っている。

そしてハン・ドクス首相は20日、中央災害安全対策本部の会議で、屋内でのマスク着用義務を30日に「勧告」に切り替える方針を明らかにした。屋内でのマスク着用義務が解除されるのは、韓国で新型コロナの最初の感染者が確認されてから約3年ぶり。解除の時期は、21日から始まったソルラル(旧正月)の連休に人の移動が増えることを踏まえて、連休後にしたという。

韓国紙の毎日経済は、「事実上のエンデミック」との見出しで政府の発表を報じ、「コロナの流行が長期化し、世界各国が大部分の規制を解除したという点も、今回の緩和に影響を及ぼしたとの分析も出ている」と報じた。

今回の決定により、ほとんどの場所で着用義務はなくなるが、航空機や電車、バスなどの公共交通機関や医療・福祉施設、薬局では維持する。ハン首相は「高齢者など、感染リスクの高い人は、危険だと判断される場所ではマスクを着用してほしい」と呼び掛けている。

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