<W解説>日常回復、物価高も影響しストレス増大?行動制限なく迎えた韓国の旧正月(画像提供:wowkorea)
<W解説>日常回復、物価高も影響しストレス増大?行動制限なく迎えた韓国の旧正月(画像提供:wowkorea)
韓国の聯合ニュースは、韓国で旧正月「ソルラル」(今年は1月22日)や中秋節「チュソク(秋夕)」といった年中行事にかかる費用に「負担を感じる人が多いことが分かった」と報じた。聯合は就職情報サイトのインクルートが先月27~29日に会員828人を対象に実施したアンケート調査の結果を紹介。それによると、旧正月の連休(21~24日)を前に約4割が「ストレスを感じている」と答えたという。韓国では名節前後の体調不良について「名節症候群」としばしば呼ばれる。従来の伝統的な名節の過ごし方に負担を感じる人も多いとされる。

韓国の旧正月「ソルラル」は1年の始まりを祝う名節として、「チュソク(秋夕)」とともに二大名節にあげられる。旧正月の伝統的な過ごし方といえば、親戚や近所の人同士が集まって「セベ(歳拝)」と呼ばれる挨拶を交わす。子どもたちにとっては挨拶の後にもらえるお年玉「セベットン」が楽しみの一つだ。「チャレ(茶礼)」と呼ばれる祭事も行われ、儀式の際には「チャレサン(茶礼床)」と呼ばれる神や先祖への特別な供養物が用意される。

また、日本は年末に歳暮を贈る習慣があるが、韓国はソルラルに合わせてギフトセットを贈ることが多い。旧正月が近づくと、スーパーやデパートのほか、果物屋、肉屋といった個人経営の店にも名節ギフトが並ぶ。ギフトは生鮮食品や加工食品、日用品、生活必需品、健康食品など様々で、最近は若者と高齢層で購入傾向に違いが見られるほか、新型コロナウイルスの流行や物価高の影響もみられるという。

前出のインクルートによる調査で、ストレスの原因として最も多く挙げられたのが「費用の支出」(21.8%)だった。物価高の影響で旧正月の料理にかかる食費、親戚らに贈るギフトなどへの負担もこれまで以上に増している。ストレスを感じるのももっともだ。前述の調査で、費用支出に対するストレスの度合いについての質問に、「非常に負担に感じる」と答えた人は12.8%、「少し負担に感じる」は34.2%だった。「普通」は32,7%で、「負担に感じない」は20.3%にとどまった。旧正月の支出予定額の平均を項目別にみると、「家族への小遣い」が38万ウォン(約4万円)、「外食費」が21万ウォン、「交通費」が13万ウォン、「祭礼の準備費用」が25万ウォン、「贈り物」が40万ウォンだった。

前述の調査でストレスの要因として「費用の支出」に次いで多かったのが「個人の自由時間の減少」(17.3%)で、「家族間の意見対立」(15.2%)、「小言を言われること」(12.2%)と続いた。

韓国では、旧正月や秋夕の名節の前からストレスがたまり、名節後に脊椎や関節に異常を感じたり、めまいや頭痛、腹痛、動悸(どうき)などの症状を訴えたりする人が見られる。こうした症状は「名節症候群」などといった名称で呼ばれる。「世界のどこにもない、韓国だけにある唯一の疾患」との声もある。

名節に向け、数週間前から親戚などへのギフトの手配や、先祖供養の祭祀「チャレ」で使用する供え物の調達など忙しくなる。また、親戚付き合いなどに過度な精神的負担を感じる人もいる。

「名節症候群」は特に女性に多く見られるとされる。名節の準備は女性に集中しがちで、何もしない夫に妻が愛想を尽かし、関係が急速に悪化したあげく離婚に至るケースもみられるという。「料理を食べて片付けるのを繰り返すのが果たして伝統文化か」などとして「名節を廃止してほしい」などと訴える声もある。

一方、新型コロナウイルスの感染拡大以降、名節においても行動の自粛が呼び掛けられ、従来のような伝統的な名節の過ごし方も変化が生じた。AR(拡張現実)の技術を取り入れた端末を使って茶礼を行ったり、墓参りの代行サービスを利用したりするケースも見られた。だが、これまで「名節症候群」に悩まされてきた人たちからは、負担が減るとして安どの声も出た。

しかし、今年は新型コロナの流行に伴う行動制限がなく旧正月を迎えた。韓国は21日~24日まで旧正月の連休となっている。連休真っただ中だが、社会がコロナ禍前のような旧正月に戻りつつも体が追い付かず、これまで以上にストレスを感じている人もいるかもしれない。

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