元徴用工訴訟をめぐっては、韓国の大法院(最高裁判所)が日本企業2社に対し、原告の元徴用工らへの賠償を命じた。しかし、賠償問題に関し、日本としては1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場で、履行に応じていない。
昨年5月、日韓関係改善に意欲を示すユン・ソギョル(尹錫悦)大統領が就任し、尹政権は問題解決に向けさまざまなアクションを起こしてきた。外交部は解決策を模索し続けた結果、韓国政府の傘下で、元徴用工らへの支援を行っている「日帝強制動員被害者支援財団」が元徴用工訴訟の被告である日本企業の賠償金を肩代わりする案を解決の「有力案」とした。
そして今月12日、外交部は問題解決に向けた公開討論会を韓国国会で開き、この案を公表した。しかし、原告の弁護士は「日本側が何も負担しない案」だとしてこれに反対の立場を示した。原告や、原告を支援する市民団体も強く反発している。韓国の最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)代表も「日本に免罪符を与える、許されない案だ」と強く批判した。韓国メディアの報道も厳しい論調が目立った。現政権に批判的な論調で知られるハンギョレ新聞は社説で「政府が韓日関係改善を急ぐあまり、強制動員解決案の歴史的意味も、被害者らの苦痛に対する謝罪と慰労も無視し、解決策を押しつけるならば、韓日関係は一層悪化し、逆風を受けることになるだろう」と政府の対応を批判した。
だが韓国政府はこの問題の解決のため動きを加速化しており、今月16日には外交部アジア太平洋局のソ・ミンジョン局長が外務省を訪れ、船越健裕アジア大洋州局長と協議した。聯合ニュースによると、日韓の当局は今月末ごろに今度はソウルで局長級協議を開く方向という。聯合は「協議の開催はこれまで月1回程度だったが、調整の大詰めを迎え、ペースを上げることになる」とし「次の協議では、船越氏が日本の謝罪や被告企業による基金への参加といった具体的な対応策を示すかが注目される」と解説した。
元徴用工訴訟問題をめぐる日韓協議が大詰めを迎えている中、日本政府は今月19日(日本時間)、世界文化遺産登録を目指す「佐渡島の金山」について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)から不備を指摘された推薦書を修正し、再提出した。佐渡金山には戦時中、労働力不足を補うため、少なくとも1000人を超える朝鮮半島出身労働者が動員されたとされる。このため、韓国は旧朝鮮半島出身労働者が強制的に労働を強いられていたと主張しており、こうした歴史的背景から「佐渡島の金山」が世界遺産登録を目指すことに反対している。
日本政府は昨年2月、「佐渡島の金山」について世界文化遺産候補としてユネスコに推薦することを正式決定した。しかしユネスコは、提出された推薦書の不備を指摘。政府は昨年7月、目標としていた今年の登録実現は難しくなったと発表した。ユネスコが不備を指摘したのは「西三川砂金山」の導水路跡に関する説明部分で、政府は指摘されたか所を修正し推薦書を再提出した。日本のこの動きに、外交部は在韓日本大使館の公使を呼んで抗議。報道官論評も発表し、「強制労働の痛みを含む歴史が遺産登録に反映されるよう、ユネスコなど国際社会と共に努力を続ける」と強調した。
また、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、日本政府は今月13日、「放出開始は今年春から夏ごろを見込む」とする方針を決めた。韓国は処理水の海洋放出問題について従来から懸念を示し、国際機関の調査とは別に独自に検証を進めている。日本政府が放出開始時期を「今年春から夏ごろを見込む」としたことに、外交部は「客観的、科学的観点から、安全で、国際法や国際基準に合った形で処分されなければならないとの立場を堅持しながら対応する」と表明した。
聯合ニュースは「これら二つ(佐渡島の金山、原発処理水)が韓国の対日世論を悪化させれば、徴用訴訟問題の解決に向けた韓日の交渉にも響きかねない」と指摘した。
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