トヨタ自動車は26日、4月1日付で佐藤恒治執行役員(53)が社長兼最高経営責任者(CEO)に昇格すると発表した。豊田章男社長(66)は代表権のある会長に就く。同日に開かれた臨時取締役会で決定。佐藤氏は、6月に想定される定時株主総会の承認を経て取締役に就く。初代プリウスの開発責任者として知られる内山田竹志会長(76)は4月1日付で会長を退き、定時総会を経て取締役も退く。
豊田氏は26日に開いたオンライン記者会見で、社長交代を決めた理由について、内山田氏の会長退任がきっかけだと説明し、「トヨタの変革をさらに進めるには、私が新社長をサポートする体制が一番良いと考えた」と述べた。
新社長に就任する佐藤氏は早稲田大学理工学部卒業後、1992年にトヨタに入社。主に技術畑を歩み、カローラやプリウスなどの部品開発に携わってきた。2020年に執行役員に就任し、現在はチーフブランディングオフィサーと高級車部門レクサスのトップを兼ねている。
豊田氏は佐藤氏を次期社長に起用する理由について、「トヨタの思想、技、所作を身につけようと車づくりの現場で必死に努力してきた」と説明し「商品を軸にした経営をさらに前に進めてくれる」と期待を込めた。
佐藤氏は会見で、豊田氏から社長就任の内示をもらった際、「自分らしくやりなさいという言葉をかけていただいた」と振り返り、「車を作ることが大好き。だからこそ車を作り続ける社長でありたい。これからの車はモビリティー(乗り物)へと大きく進化していく。車の本質的な価値を守り、新しいモビリティーの形を提案していきたい」と抱負を語った。
トヨタは脱炭素社会の実現に向け、電気自動車(EV)などの販売拡大を目指している。自動車産業は「100年に一度」とも言われる大変革期にあり、EVが中国、米国、欧州を中心に急速に普及している。
韓国の有力紙「中央日報」は26日、「欧州で0%台の屈辱、世界1位のトヨタ、『現代自動車戦略』を追いかける」との見出しの記事を掲載した。トヨタがEV戦略を見直すことを報じた朝日新聞の記事を引用。自動車の骨格となるプラットフォーム(車台)を見直し、EV専用の基本設計とすることで生産効率とコスト競争力を高めて、米EVメーカーのテスラなどに対抗する計画だと伝えた。新たな車台はエンジンを載せる必要がなく、スケートボードのように平らにつくることができる。量産に向いており、コストも抑えることが可能。電池を置くスペースの自由度も高まるという。朝日新聞の報道によると、トヨタはこの車台を使った新EVの納入時期は需要の動きを見て決めるが、2027~28年を軸に検討しているという。
その上で、中央日報は、韓国の現代自動車グループはEV専用プラットフォーム「E-GMP」を5年前に既に開発し、「アイオニック5」や「EV6」、「GV60」などを販売したと解説した。現代自動車グループは昨年にもE-GMPを基盤とした「アイオニック6」を出し、販売拡大を進めている。同グループは昨年、EV累積販売100万台を突破。同紙は「現代自動車グループがEVの販売を始めてから11年で世界市場において打ち立てた記録だ」と解説した。同グループは昨年、欧州の主要10か国でも2桁のシェア記録し、世界の自動車メーカーで4番目に多くのEVを販売した。中央日報はこの結果を紹介しながら「EV市場に遅れて進出したトヨタは不振を免れなかった」とし、「トヨタは昨年、欧州10か国の市場のEVのシェアは0.8%(7554台)にとどまった」と指摘した。
遅れが指摘されるEV戦略の立て直しは佐藤氏のもとで進められることとなった。トヨタは2021年末、EVを2030年には30種そろえ、世界で年350万台を販売する戦略を既に発表している。
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