李氏は、2008年2月25日~2013年2月24日まで第17代大統領を務めた。現代グループの現代建設の社長を務めるなど、過去の経済界での実績から「経済大統領」としての手腕が期待された。就任後、「韓国747計画」を推進。747計画は、毎年平均7%の経済成長、1人当たり4万ドルの国民所得、そして韓国を世界7大経済大国にするというものだった。しかし、在任中、米国産牛肉の全面的な輸入再開方針を決定したことが国民の猛反発を受け、支持率が一時は2割台に下落。連日、大規模な抗議デモが続き、韓国社会に混乱を招いた。また、リーマン・ショックによる世界同時不況とそれに伴う景気悪化、株価下落や急激なウォン安に苦慮するなど、期待された「経済大統領」としての手腕を十分に発揮できなかった。
李氏は、財閥大手のサムスングループなどから巨額の賄賂を受け取り、会社の資金を横領したとして2018年3月に逮捕された。そして2020年10月、収賄や横領の罪で懲役17年の実刑判決が確定した。
しかし、その後、持病が悪化して入退院を繰り返すようになり、昨年6月、健康状態の悪化が考慮され、刑執行停止が決定。実刑判決を受けてから約1年7か月ぶりに釈放された。そして李氏は昨年末に新年の特別赦免の対象となり、残り15年の刑期と未納の罰金が免除された。李氏は先月30日、入院していた病院を退院し、ソウル市内の自宅に戻った。
東亜日報によると、自由の身となった李氏を「中東特使」に起用するよう求める声が与党内から上がり始めているという。今月、尹大統領が国賓としてUAEを訪問。UAEはこれに合わせ、韓国への300億ドル(約3兆8500億円)の投資を表明した。尹大統領は15日(現地時間)、UAEのムハンマド大統領と首脳会談を行った。ムハンマド大統領は「2033年までに(UAEの)ドバイを世界3大都市に発展させる目標に向かって前進する過程で、韓国は核心パートナーになるだろう」と述べた。尹大統領は「原子力、エネルギー、投資、防衛産業の4大協力分野はもちろん、新産業、保健・医療、文化・人的交流のような未来協力分野でも戦略的な協力を一層強化したことで、両国間の特別戦略パートナー関係を最高レベルに発展させていく重要な出発点になることを期待する」と述べた。
ムハンマド大統領が大規模な対韓投資を決めた背景には、李大統領時代の2009年に、UAEに原発を輸出したことで始まった両国間の強固な信頼関係があったとされる。東亜日報によると、尹大統領の今回のUAE国賓訪問を水面下で調整してきたキム・テギ大統領秘書室長が、大統領特使として昨年末にUAEを訪問した際には、李氏の書信がUAE側に伝えられる異例の場面もあったという。今回、与党内から李氏の「『中東特使』起用論」が出始めたのは、UAEと深い信頼関係を築いてきた李氏を「中東特使」に起用すれば、輸出外交のさらなる活性化につながるとの期待感からだ。
一方、李氏は健康状態が芳しくなく、大統領室のある関係者は東亜日報の取材に「まずは李元大統領の体調が回復しなければならないのではないか」と話した。
李氏は先月、特別赦免となって自宅に戻った際、記者団に今後について問われ、「韓国の繁栄のために、祈ることで役割を果たす」と述べている。
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