検察は都市開発事業をめぐり、城南市長だった李氏が民間業者に便宜を図って計4040億ウォン(約430億円)の巨額の利益を得させ、城南市に損害を与えたとみている。当時、李氏の側近らが民間業者に便宜を図り、利益のうち428億ウォン(約45億円)を受け取る約束を交わし、選挙資金の支援を受けたことにも李氏の介入があったとみている。
検察は27日に出頭するよう求めていたが、李氏は「平日は仕事があるため週末に出頭する」としていた。李氏は検察の庁舎に入る前、「ここは尹錫悦の検事独裁政権が法治主義と憲政秩序を崩壊した現場だ」と尹政権を非難した。
取り調べは約12時間半にわたって行われた。韓国メディアによると、李氏は容疑を全面的に否認したという。28日午後11時ごろに取り調べを終えた李氏は「真実を明らかにする捜査ではなく、起訴を目標にでっち上げている」と検察を批判した。
しかし、検察は都市開発に絡む大規模不正事件を、李氏をめぐる一連の疑惑の「本丸」と位置付けており、都市開発事業の最終決定権者だった李氏を起訴するのは確実とみられている。検察は追加の調べが必要だとして李氏に再出頭を求めたが、拒否する可能性が高い。
李氏をめぐっては、城南市長だった2016~18年、NAVER(ネイバー)や斗山建設などの企業からプロサッカークラブの城南FCに対する寄付金約170億ウォン(約18億円)を集め、見返りにこれら企業に建築の許認可や土地の用途変更などで便宜を供与した第三者供贈の疑いも持たれている。李氏はこの疑惑をめぐっても、今月10日に検察から事情聴取を受けている。
李氏はキョンサンブクト(慶尚北道)アンドン(安東)郡(現・安東市)生まれの58歳。貧しい家庭に育ち、小学校卒業後は少年工として働きながら検定考試に合格、中学・高校の卒業資格を得た。1986年に韓国の中央大学を卒業し、弁護士となった。
その後、2010年に城南市の市長に就任。17年の大統領選では、「共に民主党」の公認候補を選ぶ党内予備選挙に立候補したが、ムン・ジェイン(文在寅)前大統領に敗れた。18年から一昨年10月までキョンギド(京畿道)知事を務めた。過激な言動がトランプ前米大統領に似ていることから、メディアはしばしば李氏について「韓国のトランプ」と表現してきた。対日強硬派としても知られる。昨年3月の大統領選に立候補し、最後まで尹氏と激しい争いを見せたが、約24万票の僅差で敗れた。それまで国会議員の経験はなかったが、昨年6月の補欠選で当選し、晴れて議員バッジを着けることになった。そして、7月、党代表選に立候補を表明。同党の歴代最高となる77.77%の支持を得て他の候補を圧倒し、勝利。党代表に就任した。
検察は李氏が再出頭に応じない場合、逮捕状を請求するものとみられる。李氏が今後逮捕・有罪となれば、2027年の次期大統領選での政権奪還を目指す李氏や「共に民主党」は大打撃となる。しかし、現役国会議員の逮捕には国会の同意が必要となる。韓国の聯合ニュースは「李氏が代表を務める『共に民主党』は過半数の議席を握っているため国会が同意する可能性は低い。その場合、検察は在宅起訴する見通しだ」と伝えている。
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