韓国では、新型コロナの流行以降、マスクの着用を義務化し、従わなかった場合、罰金を科す厳しい措置を取ってきた。しかし、政府は昨年5月、野外での集会やスポーツ観戦など50人以上が集まるイベントを除き、屋外でのマスク着用の義務を解除。さらに昨年9月26日からは、感染状況が落ち着きつつあることに加え、屋外でマスクの着用義務がない国が多いことなどを考慮し、屋外については全面解除した。しかし、その後も屋内でのマスク着用義務は維持されてきた。
今年に入った頃から、政府内で屋内でのマスク着用義務解除に向けた動きが慌ただしくなり始めた。感染状況が落ち着いてきたことや、どういった環境で感染のリスクが高いのかがある程度分かってきたことに加え、韓国が、経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち、屋内の全ての空間でマスクの着用を義務付けている唯一の国となっていたことも影響したものとみられる。
韓国政府は先月、△患者発生状況の安定化△重症患者数と死者数の減少△安定した医療対応力△高リスク群の免疫獲得の4つの指針のうち2つ以上で基準を満たした場合、中央災害安全対策本部が議論した上で、着用義務の緩和時期を決定する方針を示した。
これまで、基準を満たしていたのは「安定した医療対応力」のみだったが、最近になって「患者発生状況の安定化」、「重症患者数と死者数の減少」を加えた3つの指針をクリアし、義務の緩和時期を決定するための条件が整った。
そしてハン・ドクス首相は20日、中央災害安全対策本部の会議で、屋内でのマスク着用義務を30日に「勧告」に切り替える方針を明らかにした。この方針に、韓国メディアは「事実上のエンデミック」「マスク卒業」などと報じた。
30日、予定通り解除され、大型スーパーや百貨店ショッピングモールのほか、学校、幼稚園などほとんどの場所で着用義務はなくなった。ただ、感染リスクの高い人への感染を防ぐため、医療機関や感染リスクの高い施設のほか、公共交通機関の乗車時のマスク着用義務は当面維持される。韓国新型コロナ特別対応団のチョン・ギソク団長は30日の会見で、マスク着用義務の完全解除は5月ごろになるとの見解を示した。また、チョン氏は「着用義務が解除された場所であっても、『3密(密閉、密集、密接)』の常用ではマスクを着用し、重症化リスクが高い人はどのような場所であっても積極的に着用してほしい」と呼び掛けた。
韓国の聯合ニュースは、地下鉄駅の構内など、着用の義務がなくなっても依然、大多数の人がマスクを着用したままの解除初日の様子を伝えた。ある大学生は聯合の取材に「まだコロナが終わっていないので、不便だがこれからも着用する」と慎重な姿勢を示した。50代の会社員は「マスク着用が習慣になったようだ」と話した。
一方、日本ではもともと着用に「義務」はないが、これまで屋内では原則マスクを着用するよう法に基づかない形で要請してきた。しかし、政府は、新型コロナの感染症上の位置づけを「5類」に引き下げることを決め(移行日は5月8日)、これを機に基本的な感染対策のあり方を見直すことにした。マスクについては、着用するかどうかの判断を個人に委ねる方針だ。
ただ、日本も韓国同様、街の人たちは大半の人が依然マスクを着用している。今後、着用が個人の判断に委ねられるのならば、着用を続けるも、外すも、両方社会に受け入れられて当然だが、問題は外したいにも関わらず周囲の目や同調圧力により外せない社会の雰囲気が依然として残っていることにある。こうした風潮は一刻も早くなくすべきだが、韓国、日本ともこれがなかなか変わらないのが現状だ。
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