<W解説>韓国で寄付文化が衰退も著名人は「寄付天使」(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国で寄付文化が衰退も著名人は「寄付天使」(画像提供:wowkorea)
韓国メディアは、韓国の寄付文化の水準が世界下位圏に転落し、寄付への参加率は下がり続けていると報じた。大韓商工会議所は、2000年代以降、寄付に対する税制上の優遇が縮小されたり、公益法人規制が強化されたりするなど、消極的な寄付政策が続いていることが影響していると分析している。

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同会議所は18日、「公益活動の活性化のための制度改善策」と題した報告書を発表。それによると、駅国の事前支援財団(CAF)が毎年発表している「世界寄付指数」で、韓国は昨年119か国中、88位だった。韓国は2018年まで中位圏(40~60位)内で推移していたが、2021年には110位にまで転落した。昨年はやや上昇したものの、寄付文化が根付いている米国(3位)や豪州(4位)のほか、隣国の中国(49位)ともかなりの差が開く結果となった。中国は最下位圏から抜け出し、2021年に95位、昨年は49位と急上昇している。日本は118位だった。

世界寄付指数の算出は2010年から実施されている。200万人余りを対象にし、寄付や支援、ボランティアの経験などをアンケート形式で聞き取り、それをもとに指数を算出している。

同会議所は昨年88位にとどまった韓国の結果について、急上昇中の中国と比較し、「韓国は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴う景気不安で寄付心理が委縮したが、中国は急速な経済成長と共に『人民が共に豊かになろう』という『共同富裕』運動の影響で寄付心理が高まっているようだ」と分析した。

韓国・統計庁の調査結果からも、韓国の寄付参加率は下落の一途をたどっていることがわかる。13歳以上の国民の寄付参加率は2011年の36.4%から2021年には21.6%に下落した。

全体として韓国での寄付参加率は低調が続いているが、寄付は身近な行為として社会に根付いている。高額な寄付を行う著名人もおり、その善意を称賛する意味で、しばしば「寄付天使」と呼ばれる。

著名人たちも事あるごとに寄付を行い、善意を示している。昨年8月、韓国で大雨による大規模な水害が発生した際は、世界的な人気を誇る男性グループ「BTS」のJ-HOPEが水害義援金として1億ウォン(約1000万円)を寄付した。昨年、韓国で人気を博したドラマ「二十五、二十一」の出演メンバーも合同で5000万ウォンを寄付した。

昨年9月には「アジアのプリンス」と呼ばれ、日本人ファンも多い俳優のチャン・グンソクが、「2022ソウル社会福祉大会」で高額支援者としてソウル市長賞を受賞した。同賞は恵まれない人々に手を差し伸べ、社会の模範となる支援者やボランティア、福祉施設の従事者・団体に贈られるもの。チャン・グンソクは、2009年から国際救護開発NGOのワールドビジョンの支援者となり、韓国内外で助けを必要とする児童たちのための寄付活動に参加してきた。自身も生活が苦しい家庭で育ち、子役から芸能活動を行うことで家計を支えていた。受賞の際、「いつの間にか100人の子供たちと縁を結ぶことになった。子供たちのことを考える一人の人間として、社会的責任を全うし、より健康的な社会を作っていくために努力する」とコメントした。

最近では、日本でも名が知られている女優のイ・ヨンエが、ソウル市カンナム(江南)区九龍村で20日に発生した火災の被災者にために、韓国障がい者財団を通じて5000万ウォンを寄付した。イ・ヨンエは財団を通じ「突然の火災で居住地を失ったり、生計が困難になった九龍村の住民の方のニュースを聞いて心が痛む。苦しんでいる被災者の方々のために、少しでも役立てればと思う」とコメントを寄せた。九龍村では20日、4区域で火災が発生し、住宅約60棟が焼失し、63人が被災した。

そのほか、新型コロナウイルスの感染者の治療に奔走する医療従事者や、病院などへの寄付を続けている著名人もいる。

ユニセフ(国連児童基金)韓国委員会には、1億ウォン以上を寄付した人たちで構成する「UNICEF HONORS CLUB(ユニセフ・オーナーズ・クラブ)」があり、各界の著名人らが名を連ねている。

芸能人やアイドルたちによる寄付リレーは、ファンを中心に多くの人たちへと波及している。著名人から始まったムーブメントが、ファンや一般の人たちにつながる「韓国的寄付文化」はこれからも大事に育ててほしい。

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