万博は会場の規模やテーマなどから、主に登録博覧会（登録博）と認定博覧会（認定博）の2つに大別される。1988年の国際博覧会条約改正（1996年発効）以前は一般博と特別博に区分されていた。最大規模の万博である登録博は、1995年以降は5年ごとに開催される。一方、認定博は5年ごとに開催される登録博の間に開かれる、比較的小規模な博覧会。開催期間は登録博が6週間以上6か月以内、認定博は3週間以上3か月以内と定められている。
韓国は1993年にテジョン（大田）国際博覧会（特別博）、2012年にヨス（麗水）国際博覧会（認定博）を開いているが、登録博の開催はこれまで一度もなく、それだけに釜山万博の開催実現は悲願でもある。
釜山市は一昨年6月、2030年の万博誘致に正式に立候補を表明し、万博の誘致申請書を博覧会国際事務局（BIE）に提出した。テーマは「世界の大転換、より良い未来に向かう航海」。「持続可能な地球」、「人類のための技術」、「共有と思いやりの場」という3つのサブテーマを掲げ、未来のパラダイムシフトに向けたグローバルなビジョンを提示するとしている。
釜山開催の実現に向け、韓国はこれまで官民あげての総力戦を展開してきた。ユン・ソギョル（尹錫悦）大統領は、釜山万博開催を主要国政課題の一つに掲げている。政府は企業や公共機関、自治体と協力し、BIE加盟170か国を対象とした誘致活動を強化。韓国のLGやサムスン、SK、現代自動車など国内の代表企業で構成するタスクフォース（TF）は誘致活動を進めている。
誘致に向け、広報活動をさらに強化しようと、誘致委員会は昨年、世界的な人気を誇る韓国の男性アイドルグループ「BTS（防弾少年団）」を釜山万博広報大使に委嘱。「BTS」はその活動の一環として昨年10月、釜山でコンサート「BTS Yet to Come in BUSAN」を開催した。
最近では、先月、世界経済フォーラム年次総会2023（ダボス会議）が開かれたスイス・ダボスで、サムスン電子が誘致活動を展開した。同社は、総会に出席する52か国の首脳級が会場に向かう道沿いのビルの壁に設置されたデジタルサイネージ（電子看板）に30年万博の誘致をアピールする広告を掲出した。また、現代自動車グループは、誘致の広告文言をラッピングした車両58台を、ダボス会議に出席する韓国企業代表団の専用車両として提供した。ダボス会議の期間中、大韓商工会議所は各国の政財界の関係者を招いてイベント「韓国の夜」を開催。出席した尹大統領は「韓国政府は民間企業とともに人類共同の問題解決のための国際的努力に積極的に参加し、責任ある役割を果たそうと思う。2030釜山万博を誘致して、その責任と役割を果たす機会にしたい」と述べた。
現在、2030年万博誘致を目指して釜山のほか、ウクライナのオデッサ、サウジアラビアのリヤド、イタリアのローマが熾烈（しれつ）な誘致競争を繰り広げている。中でも、莫大なオイルマネーを前面に出しているサウジアラビアは韓国にとって最も強力な競争相手に挙げられている。
こうした中、前出のチャン未来戦略企画官は先月26日、「過去に競争相手国とわが国の間で中立的な関係を維持していた国でさえもわれわれの方にターニング（転換）したりしている」との認識を示した。その上でチャン氏は「2030年の釜山エキスポ誘致の成功は、大韓民国の未来を決める重要な分岐点」とし、「世界は大韓民国を先進国の程度ではなく、未来の強大国として跳躍することができる潜在力のある国家として既に見始めている」と強調した。
2030年万博の開催地は今年11月に決定する見通し。
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