<W解説>ベトナム戦争での民間人虐殺で韓国政府に賠償命令=韓国の市民団体は慰安婦問題と関連づけ「人権国家」を誇張(画像提供:wowkorea)
<W解説>ベトナム戦争での民間人虐殺で韓国政府に賠償命令=韓国の市民団体は慰安婦問題と関連づけ「人権国家」を誇張(画像提供:wowkorea)
ベトナム戦争に派遣された韓国軍に家族を虐殺され、自身も銃撃を受けたとして、ベトナム人女性が韓国政府に賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁は7日、韓国政府に約3000万ウォン(約315万円)の支払いを命じる判決を言い渡した。韓国軍による民間人虐殺の賠償責任が認定されたのは初めて。

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戦時暴力をめぐって韓国は、日本に対しては慰安婦問題や元徴用工問題で謝罪、賠償を求めている。今回の判決を受けて、韓ベ(韓国・ベトナム)平和財団は慰安婦問題と関連づけて「ベトナム戦争の問題と日本軍慰安婦問題は互いに絶えず関係しており、影響を受けている。今後もそうだろう」と強調。判決から慰安婦問題への関心に、市民を暗に誘導した。

原告のベトナム人女性は、7歳だった1968年、ベトナム中部クアンナムの村落で、韓国軍部隊の銃撃を受け腹部を負傷した。村では女性の家族を含め70人以上が殺害されたという。女性は2020年、3000万100ウォン(約300万円)の賠償を求める訴訟を起こした。ソウル中央地裁はベトナム戦争に参戦した軍人や村の民兵隊員だったベトナム人の証言、証拠などに基づき、原告の主張をおおむね認めた。地裁は「韓国の軍人たちが原告の家族を外に出させた後、銃撃を加えた」として、「このため原告の家族は亡くなり、原告らは深刻な負傷を負った事実が認められる」と説明。「このような行為は明白な違法行為」と認定した。

一方、韓国政府側はこれまでベトナム側との約定書などから、戦争中に被害に遭った民間人が韓国の裁判所に提訴することができないと主張していた。しかし、地裁は「軍事当局や機関間の約定書は合意にすぎない」とし、「ベトナム国民個人である原告の韓国政府に対する請求権を妨げる法的効力を持つとはいえない」と政府側の主張を退けた。

また、政府は数十年前に起きた事件であり、時効が成立すると主張したが、地裁は「原告は提訴する頃まで客観的に権利を行使できない障害理由があったと認められる」と判断した。

ゲリラ戦で展開されたベトナム戦争の特性上、正当防衛だったとの主張も認められなかった。

ベトナム戦争時、韓国は米国の要請を受けて延べ31万人以上を派兵した。目撃者や被害者の証言から、現地での民間人虐殺や女性への性的暴行が明らかになっている。原告の他にも多数の被害者がおり、韓国の通信社、聯合ニュースは「今後、他の被害者の提訴が相次ぐ可能性がある」と伝えた。

判決を受け、韓国外交部(外務省に相当)は8日、「韓国・ベトナム両国は1992年の国交正常化以来、『過去の不幸な出来事を過ぎたこととし、未来を志向していく』という原則の下、この30年間、類例のない関係発展を遂げてきた」として上で「諸般の懸案について緊密に意思疎通をしている」とした。

こうした中、韓国が日本に対し謝罪と賠償を求めている慰安婦問題をめぐり、慰安婦支援団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」は、ソウルの日本大使館近くで毎週水曜日に行っている抗議集会「水曜集会」で今回の判決について言及。正義連のイ・ナヨン理事長は「大韓民国の人権社会の歴史に残る今回の判決を契機に、すべてのベトナム民間人虐殺の真相が徹底的に究明され、政府レベルの責任認定、公式謝罪と法的賠償がなされることを心から願う」と述べた。

また、正義連は韓国は戦争犯罪を否定する日本とは違うと言わんばかりに「今回の判決で韓国は戦争犯罪を否定する日本の轍(てつ)を踏まず、人権国家として新たに立つ機会を得た」などと主張した。慰安婦問題と関連づけず、「韓国軍によってベトナム人が多数虐殺された」という事実も直視すべきではないか。

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