<W解説>元徴用工問題、1998年の日韓共同宣言の継承が両国の関係を修復させるか?(画像提供:wowkorea)
<W解説>元徴用工問題、1998年の日韓共同宣言の継承が両国の関係を修復させるか?(画像提供:wowkorea)
日韓最大の懸案である元徴用工訴訟問題をめぐり、韓国のパク・チン(朴振)外相は6日、日本政府の謝罪について、1998年の小渕恵三首相とキム・デジュン(金大中)大統領による日韓共同宣言を継承する案を日本側と協議していることを明らかにした。朴外相が日本側の直接の謝罪の代わりに同宣言を継承する案について公式に言及したのは初めて。

昨年5月、日韓関係改善に意欲を示すユン・ソギョル(尹錫悦)大統領が就任し、尹政権はこの問題の解決に向けさまざまなアクションを起こしてきた。韓国外務省は解決策を模索する中で、元徴用工らへの支援を行っている韓国の財団が被告の日本企業の賠償を肩代わりする案を有力案とし、先月12日の公開討論会で公表した。しかし、原告側の弁護士は、政府が検討している解決案は「日本側が何も負担しない案」だとして反対の立場を示した。民族問題研究所など610の市民団体でつくる「歴史正義と平和な韓日関係のための共同行動(韓日歴史正義平和行動)」などは先月26日、政府の対応や政府が公表した解決案を改めて批判した。

韓国の放送局MBCが先月に行った世論調査では、政府が公表した解決案について「反対」は約64%に上り、賛成の約23%を大きく上回った。また、公共放送KBSが先月行った世論調査では、政府案について「被害者の意見反映が不十分」との回答は59.6%で、「韓日両国の関係回復のために同意する」(33.3%)を大きく上回る結果となった。

解決案に対して韓国内に厳しい反発が上がる中でも、日韓外交当局は協議を重ねている。先月16日、韓国外務省アジア太平洋局のソ・ミンジョン局長は、外務省の船越健裕アジア大洋州局長と会談した際、問題解決のためには日本の謝罪と誠意ある呼応が必要だと伝えたという。

これに対し日本側は、韓国政府が解決策を正式決定すれば、「反省」や「おわび」を明記した過去の政府談話を継承する立場を説明する方向で検討を進めている。

こうした中、朴外相は6日、「日本の(訴訟)関連企業は基本的に責任自体を認めておらず、賠償に対しても責任を拒否しているため、日本政府としてできる最大限の過去に対する謝罪と反省表明がなければならず、その方法の一つとして、以前にした宣言の内容の中で適切な反省と謝罪を受け入れる方向で話を進めている」と説明した。

朴外相が言及した「以前にした宣言」とは、1998年に小渕恵三首相と金大中大統領が発表した日韓共同宣言を意味する。同宣言には日本政府による韓国国民への「痛切な反省と心からのおわび」が盛り込まれている。尹大統領はかねてから「金大中・小渕」時代のような良好な日韓関係を目指すと度々言及している。

しかし、元徴用工を支援する韓国の団体「日帝強制動員市民の集まり」のイ・グクオン(李国彦)代表は先月30日、韓国の聯合ニュースの取材に、日本政府が過去に示した反省やおわびについて「自分たちの違法行為を認めたわけではなかった」と指摘。過去の宣言や談話で表明した反省やおわびでは受け入れられないとした。

謝罪の在り方については、日本国内でも、継承する形であれ繰り返しすべきでないとの意見が出ている。ジャーナリストの長谷川幸洋氏は夕刊フジへの寄稿で「韓国の態度は『永久に謝り続けよ』というようなものだ。そんな韓国の言い分を求めたら、いつまで経っても正常な外交関係は築けない」と指摘した。

一方、自民党外交部会長代理の松川るい氏は5日、フジテレビの番組に出演し、元徴用工訴訟問題に言及。「韓国との関係で新しい謝罪などはあり得ない話。そもそも徴用工問題では日本政府は謝罪すべきことはないとの立場だ」とした上で、「ただ、徴用工問題が日韓間の信頼関係を損ねている最大の課題、問題で、これが解決されたときに日本政府も当然、何かコメントは出すと思う」とした。

問題解決に向け、日韓当局間の詰めの調整が続いている。

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