「竹島の日」は竹島を県の所管としてから100年を迎えたことを受け、島根県が2005年に条例で定めた記念日。「竹島の日を定める条例」第1条は「県民、市町村及び県が一体となって、竹島の領土権の早期確立を目指した運動を推進し、竹島問題についての国民世論の啓発を図るため、竹島の日を定める」としている。2月22日に決めたのは、1905年のこの日に県が竹島を編入したことにちなんでいる。
式典の開催は今回で18回目。新型コロナウイルスの流行を受けて、昨年は一般の参加者を入れない形で開催したが、今年は参加者を募って行われ、約200人が出席した。丸山達也知事は「竹島は日本固有の領土だ」と強調した上で「最近の韓国を見ると政府・国会関係者の竹島上陸、周辺海域での海洋調査や防衛訓練など、竹島の不法占拠を既成事実化しようとする動きを強めていて、極めて遺憾だ」と述べた。政府に向けては、毅然とした姿勢で韓国との外交交渉に臨み、竹島問題の解決を図るよう求めた。
また、政府から派遣された内閣府の中野英幸政務官は「政府は総力をあげて外交、教育、啓発などを展開し、一歩も引くことなく、毅然とした態度でわが国の立場を韓国に伝えていく」と述べた。
県では国に対し、長年、式典へ閣僚の出席を求めているが、政府は今年も閣僚の派遣を見送った。日韓関係に配慮する観点からの判断とみられる。政務官の出席は11年連続。
一方、竹島を「独島」として領有権を主張する韓国政府は、島根県での式典開催を受けて外交部の報道官声明を発表。「日本が独島に対する不当な領有権の主張を繰り返している」と批判した上で、式典への政務官派遣に「強力に抗議し、同行事の廃止を厳重に求める」とした。外交部アジア太平洋局のソ・ミンジョン局長は、在韓日本大使館の熊谷直樹総括公使を外交部庁舎に呼び、抗議した。
また、南東部のキョンサンプクト(慶尚北道)・ウルルン郡と独島財団などは22日、郡内で集会を開き、「竹島の日」条例と式典開催を糾弾した。韓国の聯合ニュースによると、約30人が参加したという。
日本に島根県が定める「竹島の日」があるのに対し、韓国には市民団体「独島守護隊」が提唱してできた「独島の日」(10月25日)がある。「独島の日」は島が韓国の領土であることをPRすることなどを目的に、2010年に宣布された。10月25日としたのは1900年のこの日、朝鮮王朝第26代国王コジョン(高宗)が「独島はわが国の領土」と宣言した大韓勅令第41号が制定されたことにちなむ。国家公式の記念日ではないが、毎年この日には韓国内で関連する様々な催しが行われる。
韓国では日本以上にこの問題に関心が高く、過去の意識調査では島を「自国固有の領土」と認識する韓国国民は90%台後半に上った。一方、日本国民は6~7割程度にとどまった。昨年10月には政府系シンクタンクが運営する「独島体験館」がソウル市内の大型商業施設内に移転してきた。島の模型などの展示のほか、記念写真入りの「独島新聞」が製作できるコーナーも設けられ、人気スポットになっている。
ただ、対日関係改善に意欲的なユン・ソギョル(尹錫悦)政権は、領有権問題をめぐる日韓の対立をなるべく抑えようと、一定の配慮をしているような雰囲気も感じさせる。産経新聞は、22日の式典を受けて韓国外交部が発表した声明に着目。ムン・ジェイン(文在寅)前政権時の昨年に出した声明で「日本が余計な挑発を繰り返している」とした表現は今年は「不当な領有権主張を繰り返している」と変わっており、同紙は「やや抑えた」と指摘した。また、韓国軍は半年ごとに島の防衛を想定した定例訓練を実施しているが、昨年7、12月は例年より規模を縮小。兵員の島への上陸も行わないなど、対日配慮を示した。
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