韓国での日本車の販売台数は、2018年の4万5253台をピークに下がり続けている。要因の一つは2019年の日本政府による対韓輸出管理強化を受けた日本製品の不買運動だ。「ノージャパン運動」という名の下、「買わない、売らない、行かない」を合言葉に韓国全土に広がった。不買運動の影響で、コンビニなどでは日本メーカーのビールなどが一時、陳列棚から消えたほか、韓国に出店している日本ブランドの店などは客足が遠のいた。旅行商品も例外ではなく、日本旅行を控える人が急増。日本の各地の空港では韓国と結ぶ便の減便、運航停止が相次いだ。
日本車の販売にも大きな影響を及ぼし、2019年に日本メーカー各社は大幅な割引販売や在庫処分などを実施。しかし、長く苦戦を強いられ、2019年8月、日産自動車の月間販売台数がわずか58台にとどまったことが当時、大きなニュースになった。状況はさらに悪化し、2020年1月は同社の高級車ブランド「インフィニティ」がたった1台しか売れなかった。結局、同社は2020年12月末付で韓国市場から撤退した。ただ、撤退理由について同社は「グローバルの観点からの戦略的事業改善の一環」と説明した。
昨年、韓国で販売された日本メーカーの自動車は計1万6991台で前年比17.8%減となった。登録台数をメーカー別にみると、トヨタは前年比2.8%減の6259台、レクサスは22.1%減の7529台、ホンダは27.9%減の3140台だった。
日本車メーカーの不振の要因について、韓国紙の中央日報は不買運動以外の要因を挙げた。同紙は「日本車の失敗は予想された結果だ」とした上で「まず、韓国で販売するEVとPHEVなど電動化モデルがなかった。ベンツ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲンなどドイツの主要ブランドがEVとPHEVモデルを先を争って発表したのとは対照的だ」と指摘した。テリム大学未来自動車学部のキム・ピルス教授は同紙の取材に、「電動化への備えが競合メーカーと比べ相対的に遅れているのが日本車の敗因。市場先導者から1日で後発走者となった」と話した。
一方、不買運動は最近、めっきり下火になったと指摘されている。「戦後最悪」とも言われるまで悪化した日韓関係だが、昨年5月に就任したユン・ソギョル(尹錫悦)大統領が対日関係の改善を公言し、現在、日韓最大の懸念である元徴用工問題の解決に向け、両国の当局間で活発な意思疎通が行われている。
韓国人の対日観にも変化が見られ始めている。韓国の公益財団法人「新聞通信調査会」は今月18日、昨年11~12月に実施した世論調査の結果を発表。それによると、韓国において日本に「好感が持てる」と答えた人の割合は39.9%で、2021年11~12月に実施した前回調査より8.7ポイント増加した。また、2015年の調査開始以降、最高の好感度となった。
対日関係改善の影響は実際に表われており、現在、韓国では日本の映画「THE FIRST SLAM DUNK」が観客動員数250万人を突破するヒットとなっている。一方、かつて公開されれば大きな興行収入が上がっていた「抗日映画」は昨夏以降、不振が続いているという。
訪日韓国人の数も増加。日本政府観光局によると、先月日本を訪れた外国人149万7000人のうち、韓国人は56万5000人で最も多かった。
不買運動はもはや終焉(しゅうえん)したとも言える雰囲気の中、日本のメーカー各社は韓国でのシェア回復を図ろうとしている。韓国トヨタ自動車は21日、ことし、韓国市場で電気自動車(EV)やハイブリッド車、プラグインハイブリッド車(PHEV)などのエコカー8種類を順次発売すると発表した。レクサスは上半期に自社バッテリーの専用プラットフォーム「e-TNGA」を採用した新型EV「レクサスRZ」をリリースする予定。また、ホンダコリアは、ホンダを代表するSUV(スポーツ多目的車)「CR-V」のフルモデルチェンジ版を上半期に発売することを計画している。
輸入車業界の関係者は中央日報の取材に「安全で故障のないブランドとして日本車が電動化モデルを本格的に投入すれば、メーカー間の競争が激しくなりそうだ」と予測した。
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