日韓最大の懸案である元徴用工訴訟問題をめぐって、韓国外交部(外務省に相当)のパク・チン(朴振)長官は今月6日に記者会見して解決策を発表。韓国大法院(最高裁)で敗訴した日本企業の賠償を韓国政府傘下の財団が肩代わりすることなどを正式表明した。
記者会見で解決策を発表した朴長官は、経済や安全保障など、あらゆる分野で日韓協力が非常に重要だとして「長時間硬直した関係を放置せず、国益の観点から国民のために悪循環の輪を断ち切るべきだ」と述べた。その上で、日本に対し、「過去の不幸な歴史を克服し、和解と善隣友好協力に立脚した未来志向的関係を発展させていくため、共に努力することを望む」と述べた。
韓国政府が解決策を発表したことを受けて、韓国の全国経済人連合会(全経連)は「韓日関係を未来志向的に発展させるため、日本経団連とはこれまで様々な案を議論してきた。徴用問題をめぐり、韓日政府が合意に至ったことを機に、より具体的な議論を始める予定だ」とコメントした。また、経団連の十倉雅和会長は「日韓関係の健全化に向けた大きな一歩であり、経団連としても評価する」とした。
韓国側が解決策を示したことを受け、尹大統領が今月16~17日の日程で日本を訪問し、岸田首相と首脳会談を行う方向で最終調整が進められている。
その尹氏の訪日に、韓国の経済団体や主要10企業グループのトップらによる経済使節団が同行する予定であると聯合ニュースが伝えた。聯合によると、使節団にはロッテグループのシン・ドンビン(日本名:重光昭夫)会長や韓日経済協会のキム・ユン会長(三養ホールディングス会長)、全国経済人連合会(全経連)のチョ・ヒョンジュン副会長(暁星グループ会長)らが加わる可能性が高いという。一方、全経連を脱退した主要4グループのサムスン、SK、現代自動車、LGのトップは別途に参加が要請される見通し。
日韓の経済協力は、2019年の日本政府による対韓輸出規制以降、薄らいだ。同年7月、当時の安倍晋三政権は韓国向け半導体素材3品目の輸出管理厳格化を発動し、8月、貿易上の優遇措置を適用する「グループA(旧ホワイト国)」から韓国を除外する政令改正を閣議決定した。元徴用工問題をめぐり、当時のムン・ジェイン(文在寅)政権が具体的な対応を示さないことへの事実上の対抗措置だったとの見方もある。しかし、日本政府は、安全保障上の観点から輸出管理を適切に実施するために行った措置で、これまで一貫して元徴用工問題とは無関係と説明している。
日本政府が輸出管理を厳格化した3品目はフッ化水素、フッ化ポリイミド、レジストで、いずれも韓国の主力産業である半導体の生産に不可欠でありながら、日本企業が世界的に大きなシェアを握っている素材だ。
韓国では日本側のこの措置を機に反日感情が高まり、日韓関係は「戦後最悪」と言われるまでに悪化した。韓国人消費者による、日本製品の不買運動も大々的に展開された。
韓国政府が元徴用工訴訟問題の解決策を発表した中、日本政府は6日、措置の解除に向けて、二国間で速やかに協議を開始すると発表した。
日韓の「雪解け」の機運が高まる中、経済界も両国の経済協力の立て直しに向けた動きを加速させており、日韓首脳会談前後に開かれる見通しの「ビジネス・ラウンドテーブル」もその一環だ。また、元徴用工訴訟問題に関連して、韓国の全経連と日本の経団連が、両国の若者の交流を支援する基金の設立を検討している。
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