WBCでの日韓戦は2009年決勝から14年ぶりで、「宿命のライバル対決」に韓国でも関心が高かった。試合が始まるとソウル中心部のスポーツバーなどでは、野球ファンから歓声が上がった。試合は日本代表が韓国代表に13対4で大勝した。韓国では完敗という結果に、ファンらからは落胆の声が上がった。
一方、韓国メディアは、試合前のスタンドでメガネをかけた1人の男性が旭日旗を掲げていたと指摘した。韓国の聯合ニュースは「旭日旗は韓国で日本の過去の軍国主義の象徴と捉えられている。なぜならば、それは日本がアジア諸国への侵略を開始した19世紀末に掲げられていたからだ。韓国はまた、アジア諸国にとっての旭日旗は、欧州諸国にとってナチスのかぎ十字と同じだと言っている」と報じた。
このような理由から韓国では旭日旗について不快感を示す人が多く、これまでもこの問題が日本との間で度々物議を醸してきた。2019年には韓国国会の文化体育観光委員会が、東京五輪の競技会場で旭日旗を持ち込んで応援することなどを禁じるよう、国際オリンピック委員会(IOC)と大会組織委員会に求める決議を採択した。これに対しIOCは、韓国政府から旭日旗の持ち込み禁止を求める書簡を受け取った際、「五輪で問題が生じた場合はケースバイケースで対応を検討する」と返答。韓国では事実上、旭日旗の使用が認められたものだとして反発を強めた。また、大会組織委員会は「旭日旗のデザインは日本国内で広く使用されている物であり、それ自体が政治的主張や差別的にはならないことから、持ち込み禁止には該当しない」との見解を示した。
しかし、東京五輪は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で無観客での開催が決定。韓国メディアは決定当時、「これまで国際大会のたびに韓国人選手団の士気をそいできた旭日旗が消える」などと報じた。
また、昨年11月に日本で行われた国際観艦式では、海上自衛隊旗をめぐり、韓国側は旭日旗が掲揚されると懸念し、間際まで観艦式に参加するか否かについて検討を重ねた。だが、日本の自衛隊と韓国軍の交流の重要性を考慮し、最終的には参加に踏み切った。
さらに、同月のFIFA(国際サッカー連盟)ワールドカップカタール2022では、日本対コスタリカ戦の試合中に日本のサポーターが会場で旭日旗を振ったことを韓国メディアが問題視。「何人かのファンは旭日旗を振りながら応援し、他のファンは競技場の手すりなどに旭日旗をかけたりもした。幸いなことに、競技場の安全要員たちが直ちに出動して撤去を進めた。大会関係者の素早い措置のおかげで旭日旗は競技場から消えた」などと報じた。
そして、今回、またしても国際大会の場で旭日旗が掲げられ、韓国紙のハンギョレ新聞は「懸念が現実となった」と伝えた。その上で同紙は「米国のメジャーリーグ事務局と選手労組が主導するWBCには、日本の軍国主義の象徴である旭日旗の応援を制裁する特別な条項はない。政治的な思惑が込められた文面や行為を厳格に禁止する国際サッカー連盟(FIFA)主導のサッカーワールドカップとは違う」と指摘。「そうした理由から、一部の日本メディアからは『WBCでは旭日旗の応援は問題ない』という報道が流れもした」と日本の反応を伝えた。
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