党代表選にはキム氏のほか、昨年の大統領選にも出馬したアン・チョルス議員ら計4人が立候補した。今回は従来の世論調査を合算する方式をやめ、今月4~7日にインターネットと電話で行った党員投票の結果のみで選出した。投票率は55.1%(党員83万7235人中46万1313人)で過去最高を記録した。
8日に開かれた党大会で開票が行われ、キム氏が52.9%の得票を得て代表に選出された。キム氏が当選に必要な過半数を制するか、決選投票に持ち越されるかが注目されたが、尹氏を支える党員心理が反映された形となった。
キム氏は「私たちは一つ」とした上で「一つに団結して来年の総選挙で圧勝しよう。全身を捧げて『国民の力』を成功させ、尹政権を成功させ、来年の総選挙を圧勝に導くことが党代表の責任と義務」と述べた。さらに、「ただ一つの目標に向かって走らなければならない。その目標は一にも二にも、三にも民生だ」と強調。「党員の同志と一体となって民生を生かし、来年の総選挙の勝利につなげたい」と力を込めた。また、選挙戦で共に戦った3候補の名を挙げ「優れた韓国の指導者を迎え、大統合した『国民の力』をつくりたい」と述べた。党大会には尹大統領も出席。「党内選挙には、勝者も敗者もない。国民だけを考えて一緒に前進しなければならない」と結束を訴えた。また、「国の危機、党の危機を政治的に悪用してはならない」と述べ、元徴用工訴訟問題で解決策を発表した尹政権への批判を強める野党や、党内の対立勢力をけん制した。
キム氏は元裁判官で、2004年に国会議員に初当選。4期目のベテランだ。3期を務めた後、キム氏の地元であり、同党の支持地盤が強い南東部のウルサン(蔚山)市の市長に就任。その後、2018年の市長選で再選を目指したが落選した。2020年の総選挙で当選して政治の表舞台に復帰した。「国民の力」で国会運営を取り仕切る院内代表に選出されたほか、超党派の韓日議員連盟で安保外交委員長を務めたこともある。
聯合ニュースはキム氏について「ベテラン議員で院内代表まで務めたが、党内外での存在感はそれほど大きくなかったというのが大方の意見だった。昨年後半、党代表選に真っ先に名乗りを上げ選挙運動を始めたものの、支持率が1ケタ台で伸び悩んだのもこうした評価と無関係ではなかった。だがその後、尹大統領に近い勢力の全面的な支持を得て勢いを伸ばし、党員による初回投票で過半数を獲得して与党代表の座を手にした」と解説した。
同党では大統領選後、李俊錫前代表が性接待疑惑の証拠隠滅を図ったとして懲戒処分を受けたことをきっかけに党運営が混乱。昨年8月に李氏をトップとする党執行部を解散して李氏も代表職から解任し、非常対策委員会に移行していた。
同党は今後、新代表のキム氏を中心に党運営を正常化し、来年4月の総選挙に向け準備を加速させたい考えだ。聯合ニュースは「キム氏は尹大統領に近い勢力の支持を得たため、大統領室と与党が一体となって諸課題に取り組むことができるとみられる」と伝えた。キム氏は尹氏との関係が良好で、大統領選では同党の院内代表として尹氏を支えた。2人はソウル大学法学部の先輩(キム氏)・後輩(尹氏)の間柄でもある。
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