<W解説>韓国野党が日韓首脳会談めぐり「異例」の国政調査要求(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国野党が日韓首脳会談めぐり「異例」の国政調査要求(画像提供:wowkorea)
今月16日に行われた日韓首脳会談について批判している韓国の最大野党「共に民主党」などは29日、国会で政府の対応の真相究明を図るとして、「国政調査」の実施を求める要求書を国会に提出した。韓国メディアによると、首脳会談を対象とした国政調査は異例という。

首脳会談は韓国政府が今月はじめ、日韓最大の懸案である元徴用工問題の解決策を示したことを踏まえて設定された。韓国大統領が日本を訪問して首脳会談を行うのは国際会議に合わせたものを除けば2011年以来、約12年ぶりのことだった。両首脳は長く途絶えてきた相互訪問「シャトル外交」を再開させることなどで一致した。

両首脳は会談後、共同記者会見に臨み、岸田文雄首相は「長い冬の時期を抜けて、2国間訪問としては約12年ぶりに韓国の大統領を日本にお迎えした」と述べた上で、「1965年の国交正常化以来の友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係をさらに発展させていくことで一致した」と説明した。首相はまた、元徴用工訴訟問題をめぐり、韓国政府が解決策を示したことについて「非常に厳しい状態にあった日韓関係を健全な関係に戻すためのものとして評価している」とし、「日本政府は1998年10月に発表した日韓共同宣言を含む歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいることを確認した」と説明した。

ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は「今年は過去を直視し、相互理解と信頼に基づいた関係を発展させるため、1998年に発表された『金大中・小渕共同宣言』(日韓共同宣言)から25年になる年」とした上で、「宣言の精神を発展的に継承して両国の不幸な歴史を克服し、韓日協力の新たな時代を開く一歩となった」と強調した。

首脳会談後、韓国大統領室のイ・ドウン報道官は「外交は相手の心を開いて局面を転換させるものとするなら、今回の尹錫悦大統領の訪日外交は非常に大きな成功」と成果を強調したが、野党の「共に民主党」は、「外交惨事」などと批判した。同党のイ・ジェミョン(李在明)代表は「尹政権は結局、日本の手下となる道を選択した。韓国の外交史において最も恥ずかしく惨憺(さんたん)たる瞬間」とした上で、「最大の懸案である強制徴用問題(元徴用工問題)に対する日本の謝罪や反省は全くなく、韓国政府が公言した日本の対応には言及もなかった」と指摘。「日本に朝貢(ちょうこう)を捧げ和解を懇請(こんせい)する『降伏式』のような惨憺たる姿だ」と痛烈に批判した。また、同党のパク・ホングン院内代表は「日本の側に立つなら大韓民国大統領の資格はない」と尹氏の対日姿勢を非難した。

その「共に民主党」所属の国会議員82人は29日、首脳会談をめぐる政府の対応の真相究明を図るとして国政調査を求める要望書を国会に提出した。要望書は今日30日に国会の本会議で報告された後、調査のための特別委員会が構成される見通し。

今回「共に民主党」が要求している国政調査の範囲は▲元徴用工問題の政府解決策と求償権放棄における職務放棄、背任、職権乱用などの違法行為あるいは憲法違反の有無▲訪日中の竹島(韓国名・独島)や慰安婦問題に関する議論や言及の有無▲福島県産水産物の輸入制限措置の解除要求の有無▲韓国側が策にWTO(世界貿易機関)への提訴を取り下げたことや、GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)の正常化、日本を輸出の優遇対象国に再指定する手続きに入った理由などだ。

同党のパク・ホングン(朴洪根)院内代表は「国政調査や聴聞会など憲法と法律が付与した責務、適法な手続きにより、国民の疑惑を解消し屈辱外交を正す」と強調した。

しかし、韓国メディアによると、首脳会談を対象とした国政調査は異例という。最近では昨年10月にソウルの繁華街・イテウォン(梨泰院)で起きた雑踏事故をめぐり、真相究明と再発防止を図る目的で国政調査が行われたことがある。

日韓首脳会談を対象に今回、野党が国政調査の実施を求めていることに、与党「国民の力」は、「共に民主党」の李在明代表が複数の疑惑で検察の捜査を受けていることから国民の目を反らそうとする意図があるとの見方を示した上で「国政を混乱させようとしている」と批判している。

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