世論調査会社のリアルメーターが今月20日から24日にかけ全国の18歳以上の男女2500人を対象に行った最新の世論調査では、尹大統領の国政運営について「よくやっている」と答えた人は前週より0.8ポイント下がって36.0%だった。一方、尹氏の国政運営を支持しないとした人は前週の調査より0.8ポイント上がって61.2%となり、3週連続で上昇した。
リアルメーターは、日韓最大の懸案である元徴用工訴訟問題をめぐり、韓国政府が発表した解決策や尹氏の対日外交、労働時間制度の見直し案をめぐる論争などが支持率低下の背景にあると分析している。
韓国政府は今月6日、元徴用工訴訟をめぐり、韓国大法院(最高裁判所)判決で確定した被告の日本企業の賠償を韓国の財団が肩代わりする解決策を発表した。
尹氏は解決策について「これまで政府が被害者の立場を尊重しながら、韓日両国の共同利益と未来発展に符合する方法を模索した結果だ」と強調するも、原告の支援団体は「植民地支配の違法性と戦犯企業の反人道的な違法行為に対する賠償責任を認めた、2018年の大法院の判決を事実上、無力化するものだ」などと強く反発している。また最大野党「共に民主党」も「行き詰った韓日関係を解決すると言って、韓国国民を人質にして日本に捧げた」などと批判を続けている。
世論調査会社の韓国ギャラップが今月8、9日に行った世論調査では、解決策について、「韓日関係と国益のために賛成」が35%、「日本の謝罪と補償がなく反対」が59%だった。与党支持層を除く多くの回答者では反対する意見が優勢だった。また、日本との関係について尋ねたところ、「われわれが一部譲歩してでもできるだけ早く改善すべき」が31%、「日本の態度が変わらなければ急いで改善する必要がない」が64%だった。
韓国政府が解決策を示したことを受け、今月16日には日韓首脳会談が設定され、尹氏が訪日した。韓国大統領が日本を訪問して首脳会談を行うのは国際会議に合わせたものを除けば2011年以来、約12年ぶりのことだった。両首脳は長く途絶えてきた相互訪問「シャトル外交」を再開させることなどで一致した。
尹政権は会談の成果を強調するも、野党「共に民主党」は「外交惨事」などと批判を強めている。今月29日には、同党所属の国会議員82人が、首脳会談をめぐる政府の対応の真相究明を図るとして国政調査を求める要望書を国会に提出した。同党のパク・ホングン(朴洪根)院内代表は「国民の疑惑を解消し屈辱外交を正す」としている。首脳会談を対象とした国政調査は異例。
世論の反発を意識してか、尹氏は21日の閣議で徴用工問題など歴史問題に対する自らの立場を表明。「日本は既に数十回にわたり、私たちに歴史問題について反省と謝罪を表明している」と述べ、反日を政治利用しないよう呼びかけた。この発言は首脳会談で日本から謝罪表明がなかったと国内で反発がある点を意識したものとみられる。また、尹氏は「韓国社会には排他的民族主義と反日を叫びながら政治的利益を取ろうとする勢力が依然として存在する」とも指摘した。
しかし、このメッセージについても批判が出ており、韓国紙のハンギョレ新聞は「会談の成果を一方的に強調した」、キョンヒャン(京郷)新聞は「どこの国の指導者なのか」と非難した。
尹大統領としては首脳会談を経て、ここから日韓の関係改善を一気に加速させていきたい考えだが、否定的な世論が根強くある中で、今後も難しいかじ取りが続きそうだ。
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