<W解説>日本の教科書検定に韓国が反発、「不当な主張盛り込まれた」(画像提供:wowkorea)
<W解説>日本の教科書検定に韓国が反発、「不当な主張盛り込まれた」(画像提供:wowkorea)
文部科学省が今月28日、来年の春から小学校で使用される教科書の検定結果を公表したことを受け、韓国外交部(外務省に相当)は同日、韓国が領有権を主張する島根県の竹島(韓国名・独島)をめぐり、「教科書に不当な主張が盛り込まれた」として強い遺憾を表明する報道官声明を発表した。また、元徴用工問題でも「強制性を薄める方向で変更された」と批判している。

今回の教科書検定は2020年度から導入された小学校の新学習指導要領に沿った2回目の検定で、子どもたち自身に考えさせる「主体的・対話的で深い学び」の視点やグループ活動などを重視した内容が目立つ。小学校で使用する149点(259冊)すべてが合格した。全教科の平均ページ数の合計は前回(2018年度)より2%増えた。

このうち、小学校社会の申請は3社12点あった。5、6年生で記述がある竹島や北方領土、尖閣諸島について「日本固有の領土」と明記。日本政府の見解に沿った記述となった。これまでは一部の教科書が竹島を「日本の領土」と表記していた。

教科書の検定が終了したことを受け、韓国外交部は報道官声明を発表した。声明は「日本政府が数十年間続けてきた無理な主張を踏襲した小学校教科書の検定を通過(合格)させたことに深い遺憾の意を表す」とした上で、「歴史的・地理的・国際法的に明白な韓国固有の領土である独島に対する不当な主張が盛り込まれた教科書の検定を再び通過させたことに強く抗議し、独島に対する日本のいかなる主張も受け入れられない」と強調した。また、元徴用工問題に関する記述についても「表現と記述が共生性を薄める方向で変更されたことに強い遺憾を表明し、日本政府が自ら表明してきた歴史関連の謝罪と反省の精神を真摯(しんし)に実践していくことを促す」と求めた。最後に、「両国の建設的かつ未来志向の関係構築のためには、未来を担う世代の正しい歴史認識が土台にならなければならない」とした上で、「日本政府は歴史を直視する中で、未来世代の教育により責任ある行動を示すべきだ」と促した。

さらに、外交部のチョ・ヒョンドン第1外務次官は28日夕、ソウルにある日本大使館の熊谷直樹総括公使を呼んで抗議した。これに対し、熊谷総括公使は「竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに日本の固有の領土だ」とし、抗議は受け入れられないとの立場を伝えたほか、元徴用工問題をめぐる韓国側の主張についても「指摘は当たらない」と反論した。

韓国の聯合ニュースによると、今回検定に合格した教科書の記述について、韓国の専門家からも懸念の声が出ているという。韓国政府系シンクタンク、東北アジア歴史財団のチョ・ユンス教科書研究センター長は、検定に合格した教科書で元徴用工関連の記述に「志願して兵士になった若者たち」との表現が使われたことについて聯合の取材に「(戦場に送る)制度を実施したこと自体が圧力だ」とし、「望んで日本の軍人になったという誤解を招きかねない」と指摘した。

また、別の教科書で「日本軍の兵士として徴兵し、戦場に送ったりした」という記述から「徴兵し」の部分が削除されたことについては「(当時の日本は)朝鮮人を志願兵として戦場に送り、後に徴兵を実施したが、教科書で意図的に徴兵を除いて志願を強調すれば、バランスの取れた記述とはみなし難い」との見方を示した。その上でチョ氏は「このような教科書で学んだ未来の世代は韓国に対する偏見と誤った認識を持つことになり、心配だ」と懸念した。

また、アジア平和と歴史研究所のイ・シンチョル所長は聯合の取材に「志願兵がいたのは事実だが、まるで自ら望んで行ったかのように強調するのは植民地支配されていた状況に対する理解を排除したもの」と指摘した。

韓国教育部(部は省に相当)は「未来志向の韓日関係のため、日本政府は韓国の領土と歴史に対する不当な主張を直ちにやめるよう願う」とした上で、小中高生に対する歴史教育を強化する方針を示した。

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