<W解説>「Kリーグ八百長事件」とは?=韓国サッカー協会の騒動で再びクローズアップ(画像提供:wowkorea)
<W解説>「Kリーグ八百長事件」とは?=韓国サッカー協会の騒動で再びクローズアップ(画像提供:wowkorea)
韓国サッカー協会(KFA)が先月28日に開いた理事会で、処分中のサッカー関係者100人を突如赦免し、物議を醸した。対象者のうち48人は2011年のKリーグ八百長事件に関与して除名された当時の選手たちだった。同協会は世論の批判の高まりを受け、31日に再審議を行い、結局、赦免は撤回された。

2011年のKリーグ八百長事件は、韓国プロサッカー史上最悪と言われるスポーツスキャンダル。韓国内で発売されているスポーツくじ「スポーツTOTO」で利益を得たい暴力団関係者がブローカーを通じてKリーグの選手に接触し、試合結果の操作(故意に負ける)を依頼。プローカーはスポーツTOTOで当選して得た利益の中から成功報酬として依頼選手に多額の謝礼を渡し、さらに依頼された選手が後輩などに紹介することでリーグ内に八百長が広がっていった。

ブローカーはスポーツTOTOの購入限度額(1回につき最大10万ウォン=現在のレートで約1万円)を超える購入のために、くじ販売店をも巻き込み小口でくじを大量購入したとされる。依頼された選手は、暴力団関係者から「八百長に関与したことを暴露する」と脅されていたため、犯行を重ねた。八百長に関与した選手たちは、スポーツTOTOに関する法律「国民体育振興法」違反および詐欺罪で起訴され、Kリーグから永久追放も含めた処分が下された。起訴された選手は9チーム53人と、関わった選手が多かったことから、当時、試合を行う最低人数の11人を確保できないケースや、FWがGKを担当するといった珍事も起き、韓国のプロサッカーは存廃の危機にさらされた。

事件の背景には、選手の給料が安いことや、引退後の選手が仕事を見つけにくく、甘い言葉に誘われて暴力団とつながってしまう構図があると指摘され、事件後、Kリーグは選手の最低年俸を引き上げたほか、引退後の再就職支援などを始めた。

事件から10年以上が過ぎ、KFAは先月28日、この事件で追放された選手を含む処分中のサッカー関係者100人の赦免を突如発表した。対象は懲戒処分を受けている元選手や指導者、審判、団体役員などとされた。KFAは「昨年達成したW杯10回出場と16強進出を祝して、サッカー界の和合と新しい出発のために赦免を提案した。現場の第一線からの意見を反映した」と赦免の理由を説明した。その上で「長い期間自粛して、十分に反省したと判断されるサッカー人たちにもう一度チャンスを与える」とした。

この発表がなされるや、ファンやKリーグ関係者らからは、「八百長というサッカー界で最も重い罪を犯した元選手らに安易にチャンスを与えていいのか」「ファンに対する道義を捨てた行動だ」「サッカーを台無しにした人々を再びサッカーに復帰させた」などと批判が相次いだ。

一方、Kリーグを管轄する韓国プロサッカー連盟はこの赦免を反対したという。連盟の事情に詳しい関係者は、スポーツソウルの取材に「1か月ほど前に、協会が連盟側に赦免の話を持ち出したと聞いている。ただ、連盟側は否定的な立場を示した。連盟はプロサッカーが八百長から安全だとは言えない状況であるため、誤ったメッセージを与えかねないと心配して反対した」と証言した。同紙は「それでもKFAは連盟の意見を黙殺した挙句、赦免を断行した。最初からKFAはプロサッカー側の声を聴くつもりはなく、事実上『答えは決まっていた』とみられる」と解説した。

韓国サッカー界では2011年の事件後も八百長と疑われる事件があった。それだけにあるサッカーチームの関係者は同紙の取材に「協会という組織が八百長という罪の重さをむしろ認識していないようだ。いったい何を考えているのかわからない。本当に無責任だ」と協会を批判した。

赦免の決定が物議を醸していることを受け、協会は31日、臨時理事会を開き再審議した。その結果、赦免を取りやめることを決定した。協会は「間違った決定でサッカー関係者、ファンを混乱させ、心配させることになり、大変申し訳ない」と謝罪した。その上で「今後も八百長や暴力、不正な金品の授受など違法行為は絶対に容認せず、防止策を強化し、教育にも一層力を入れていく」とした。

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